「最近、抱っこすると重くなった気がする」「動物病院で少し太り気味と言われた」。そんなとき、まず思いつくのはごはんを減らすことだと思います。ただ、目分量でなんとなく減らすと、思ったほど体重が落ちなかったり、逆にお腹をすかせて盗み食いやおねだりが増えたりと、うまくいかないことが多いんです。
結論から言うと、犬のダイエットは「理想体重を決める → 必要なエネルギー量から食事量を計算する → はかりで量る → おやつを含めて管理する → 週1回体重をはかって見直す」という順番で進めるのがいちばん確実です。ポイントは、フードのパッケージに書かれた給与量表の体重が今の体重ではなく理想体重だということ。ここを読み違えると、ダイエットのつもりが現状維持の量を与え続けることになります。
この記事では、環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」をはじめとする一次情報をもとに、太っているかどうかの見分け方、太る理由、食事量の計算と減らし方、おやつやかさ増し食材の考え方、散歩と体重測定の続け方、痩せないときの見直しまでを、理屈から順番に解説します。
・体重計の数字より先に見るべきBCS(ボディコンディションスコア)の見方
・パッケージの給与量表を「理想体重」で読む理由と、体重×30+70から始める食事量の計算
・おやつは1日に必要なエネルギー量の20%以内、与えた分だけごはんを減らす考え方
・月に現体重の1〜3%程度という減量ペースの目安と、痩せないときの見直し方
うちの犬は本当に太っている?体重計より先に「肋骨と腰」を見る理由

体重の数字だけでは「太っているか」は決められない
太っているかどうかは、体重の数字だけでは判断できません。同じ犬種でも骨格の大きさや筋肉量には個体差があり、「この犬種なら何キロが標準」という目安は、その子にとっての適正とは限らないからです。
そこで使われるのが、見た目と触った感触で体型を評価するBCS(ボディコンディションスコア)です。環境省のガイドラインでは、BCSは見た目と触れた状態から、体型、とくに脂肪の付き具合を9または5段階で評価するものと説明されています。体重は「量」、BCSは「脂肪の付き方」を見る物差しで、両方をセットで見るのが基本です。
やりがちなのが、ネットで見かけた犬種の平均体重と比べて「うちの子は平均より重いから太っている」「平均内だから大丈夫」と決めてしまうこと。骨太で筋肉質な子は平均より重くても適正なことがありますし、小柄な子は平均内でも脂肪が多いことがあります。
まずは体重計に乗せる前に、肋骨・腰のくびれ・お腹のラインを手と目で確かめる習慣をつけましょう。数字はそのあとで「変化を追うための記録」として使うのが正しい順番です。
BCS(ボディコンディションスコア)=見た目と触れた状態から、体型(特に脂肪の付き具合)を9段階または5段階で評価する方法。環境省のガイドラインでは5段階の表で、BCS3のときの体重を「理想体重」としています。
理想体重=BCSが理想の状態(5段階の3)にあるときの体重。フードの給与量表に書かれている体重はこの理想体重を指します。
BCS5段階は「肋骨・腰のくびれ・脂肪の厚み」の3点で見分ける
5段階のBCSは、真ん中の3が理想で、数字が大きいほど脂肪が多い状態です。見分けるときの手がかりは、肋骨に触れられるか、上から見て腰のくびれがあるか、脂肪がどれくらい厚くついているか、の3点です。
環境省のガイドラインでは、理想体重のBCS3を「過剰な脂肪の沈着なしに肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる」状態としています。BCS4のやや肥満は、脂肪の沈着はやや多いものの肋骨は触れ、腰のくびれは顕著でない状態。BCS5の肥満になると、厚い脂肪におおわれて肋骨が容易に触れず、腰のくびれはないか、ほとんど見られない状態とされています。
毛の長い犬種やふわふわした被毛の子は、見た目だけだとくびれがあるように見えたり、逆に太って見えたりします。トイプードルやポメラニアンなどは、見た目の印象と触った感触が食い違うことがよくあります。
コツは、両手を脇腹に当てて、軽くなでるように肋骨を探すこと。強く押さないと肋骨がわからないならBCS4以上の可能性があります。判断に迷うときは、次の比較表を手元に置いて、動物病院で一度「今のBCSはいくつですか」と聞いておくと基準がぶれません。
| BCS | 状態 | 肋骨・腰のくびれの目安 |
|---|---|---|
| 1 | 痩せ | 肋骨・腰椎・骨盤が外から容易に見える |
| 2 | やや痩せ | 肋骨が容易に触れる。腰のくびれが顕著 |
| 3 | 理想体重 | 過剰な脂肪の沈着なしに肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれ |
| 4 | やや肥満 | 脂肪の沈着はやや多いが肋骨は触れる。腰のくびれは顕著でない |
| 5 | 肥満 | 厚い脂肪におおわれて肋骨が容易に触れない。腰のくびれはないか、ほとんど見られない |
出典:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(該当ページ:PDF)
「適正体重の15%超え」が肥満の目安とされる理由
BCSと並んでよく使われるのが、適正体重と比べた割合で見る方法です。動物用医薬品メーカーの飼い主向け解説では、適正体重の15%を超えた場合は肥満とされています。
割合で考えるのは、体の大きさが違う犬どうしでも同じ物差しで比べられるからです。大型犬の数百グラムと、小型犬の数百グラムでは体への影響がまったく違います。「何グラム増えたか」ではなく「適正体重に対して何%増えたか」で見ると、小型犬の小さな増加も見落としにくくなります。
ここで注意したいのは、「適正体重」を飼い主が自分で決めてしまうことです。若い頃の体重をそのまま適正と思い込んでいると、成長や筋肉量の変化を無視することになります。反対に、太ってからの期間が長いと、今の体重を「この子の普通」と感じてしまいがちです。
環境省のガイドラインでも、現在の体重とBCSから理想体重を求めるには獣医師に診てもらうことがすすめられています。15%という数字は「気づくきっかけ」として使い、基準になる理想体重そのものは動物病院で決めてもらうのが確実です。
なぜ太る?食べ過ぎ以外に隠れている原因
人と暮らす犬の24〜44%が肥満という報告が意味すること
犬の肥満は、特別な家庭だけで起きることではありません。動物用医薬品メーカーの解説では、人と暮らす犬の24〜44%が肥満であるという報告が紹介されています。少なく見ても4頭に1頭ほどの割合です。
これだけ多い理由は、太る原因の多くが日々の「ちょっとずつ」の積み重ねだからです。1日のエネルギー量がほんの少し多いだけでも、毎日続けば脂肪として蓄えられます。犬は自分で食べる量を調整できず、出されたものは食べてしまう子が多いので、飼い主の与え方がそのまま体型に反映されます。
よくある場面は、家族それぞれが「少しだけ」とおやつをあげていて、合計すると主食に近い量になっているケースです。一人ひとりは控えめなつもりでも、誰も合計を把握していません。人の食事中にテーブルから一口あげる習慣も、同じように見えないエネルギーになります。
まずは1週間、ごはん・おやつ・人の食べ物を「誰が・何を・どれだけ」あげたか書き出してみてください。原因が食べ過ぎなのか、運動量の低下なのかを分けて考える材料になります。
避妊・去勢のあと「同じ量」を続けると太りやすいしくみ
避妊・去勢手術のあとは、それまでと同じ食事量でも太りやすくなるとされています。動物用医薬品メーカーの解説では、避妊・去勢した犬の肥満の発生率は約2倍と紹介されています。
理由は代謝の変化です。手術によって性ホルモンの分泌が抑えられると代謝が変わり、体を維持するのに必要なエネルギーが減るとされています。つまり、食べる量は同じでも「使う量」が減るので、差額が脂肪として残っていくわけです。環境省のガイドラインの計算例でも、避妊去勢済みの犬には係数1.6が使われていて、必要なエネルギー量は状態によって変わることが前提になっています。
状況:避妊・去勢手術を終えて体調も戻り、以前と同じ量のフードとおやつを続けていたら、数か月でくびれがなくなってきた。
原因:手術後は代謝が変わって必要なエネルギー量が減るとされるのに、食事量を見直していない。おやつのカロリーを1日の量に数えていないことも多い。
対策:手術後の診察時に、理想体重と食事量の目安を獣医師に確認する。そのうえで週1回体重をはかり、増えはじめたら早めに量を見直す。おやつのカロリーも1日の必要量に含めて考える。
避妊・去勢自体が悪いわけではなく、「必要量が変わったことに合わせて与える量を変える」ことが大事なんです。手術を控えている、または終えたばかりの飼い主さんは、術後の診察を食事量を相談するタイミングとして活用してください。
年齢とともに肥満は増える:4歳以下と12歳以上の差
肥満の割合は年齢によっても変わります。動物用医薬品メーカーの解説では、4歳以下では10〜20%、12歳以上では40%以上が肥満とされています。年齢を重ねるほど、太っている犬の割合が大きくなるということです。
背景にあるのは、年齢とともに活動量が落ちやすいことです。若い頃は走り回っていた子も、年齢とともに散歩のペースがゆっくりになり、家で寝ている時間が長くなります。使うエネルギーが減っているのに、若い頃と同じ量を食べ続ければ、その差は少しずつ体に蓄えられます。
ありがちなのは「食欲があるのは元気な証拠」と考えて、欲しがるだけ与えてしまうことです。食欲があるのはもちろん大切ですが、食欲と必要量は別物です。また、シニア期に入ってからの急なダイエットは体に負担がかかりやすいので、中年期のうちに体型を整えておくほうが安全です。
環境省のガイドラインでも、季節や運動量によって必要なエネルギー量は変わるため、定期的に体重をはかり、理想体重を維持できるように食事量を見直すようすすめています。誕生日ごとに一度、体重とBCSを見直す日を決めておくと忘れにくくなります。
体重が増えると、関節や呼吸に負担がかかる
肥満は見た目の問題だけではなく、体のあちこちに負担をかけるとされています。動物用医薬品メーカーの解説では、肥満が関わる不調として、運動器の病気、呼吸の苦しさ、心臓や血管の病気、手術時のリスク、肝機能や免疫の抵抗力の低下などが挙げられています。
とくに関節への影響はイメージしやすいと思います。ペット保険会社の病気解説では、肥満は変形性関節症の発症原因となるため、予防には体重管理が大切とされ、続発性変形性関節症の原因の一つとして肥満が挙げられています。体重が増えれば、そのぶん脚の関節が毎日支える重さも増えるからです。
やりがちなのが、「最近散歩を嫌がる」「階段をためらう」のを年齢のせいだと片づけて、体重のことを考えないケースです。動きたがらない → 運動量が減る → さらに太る、という悪循環に入ることもあります。
歩き方がいつもと違う、息が荒い、食欲や便の様子が変わったといった変化があれば、ダイエットの前に獣医師に相談を。体の不調が隠れていないかを確かめてから減量を始めるほうが安全です。
犬とダイエットを始める前に:理想体重とエネルギー量の決め方

最初に動物病院で「理想体重」を決めてもらう理由
ダイエットの最初の一歩は、ごはんを減らすことではなく、ゴールになる理想体重を決めることです。ゴールが決まらないと、どれだけ減らせばいいのか、いつやめればいいのかがわかりません。
環境省のガイドラインでは、理想体重はBCSを参考に求められ、現在の体重とBCSから理想体重を求めるには獣医師に診てもらうことがすすめられています。また、本格的なダイエットが必要な場合には、必ず獣医師の指導の下で行うようにとも書かれています。体型の評価には触診の経験が必要ですし、太って見える原因が病気によるものではないかを確かめる意味もあります。
よくある失敗は、若い頃の写真や記憶を頼りに「前は何キロだったから、そこまで戻そう」とゴールを決めてしまうことです。成長や年齢による筋肉量の変化を無視したゴールは、減らしすぎにつながることがあります。
受診のときは「今のBCS」「理想体重」「1日に与えてよいエネルギー量」「減量のペース」の4つを聞いておくと、そのあとの計算や記録がすべてスムーズになります。健康診断やワクチンのついでに相談するのでもかまいません。
体重×30+70で出す「安静時のエネルギー量」
理想体重が決まったら、次はその体重に必要なエネルギー量を考えます。環境省のガイドラインでは、まず安静時のエネルギー要求量(RER)を「体重(kg)×30+70」で求める方法が紹介されています。
RERは、じっとしているときに体を維持するのに必要なエネルギー量です。ここに成長段階や活動量に応じた係数をかけたものが、1日に必要なエネルギー量(DER)になります。ガイドラインの計算例では、体重5kgの避妊去勢済みの犬でRERが220kcal、係数1.6をかけてDERが352kcalとされています。
ダイエットで気をつけたいのは、式に入れる体重です。今の体重を入れると「今の体を維持する量」が出てしまうので、減量にはなりません。基本は獣医師と決めた理想体重を使います。また、この式は環境省の資料で一定の体重範囲の犬に使うものと注記されているので、とても小さな犬や大きな犬ではなく、範囲から外れる子は獣医師に計算してもらいましょう。
「とても小さな犬」と書きましたが、要は計算式が万能ではないということ。式はあくまで出発点で、実際の量は体重の変化を見ながら調整していきます。
係数とパッケージの代謝エネルギーで「グラム」に直す
エネルギー量がわかっても、そのままではフードを何グラムあげればいいかわかりません。環境省のガイドラインでは、1日の食事量を「DER÷ペットフードの代謝エネルギー(ME)×100」で求める方法が紹介されています。MEはフードのパッケージに「100gあたり○kcal」のように書かれている数値です。
係数は、成長段階や活動量によって変わるもので、ガイドラインでも詳しくは獣医師に相談するよう書かれています。ダイエット中は、獣医師が減量用の係数を指示してくれることもあります。自己判断で係数を小さくしすぎると、必要な栄養まで足りなくなるおそれがあるので注意してください。
やりがちなのが、フードを変えたのに前のフードと同じグラム数を与え続けることです。MEはフードごとに違うので、同じグラム数でもエネルギー量は変わります。低カロリーをうたうフードに替えたつもりが、実はMEがあまり変わっていなかった、ということもあります。
計算で出した量はあくまで目安で、実際には季節や運動量でも必要量が変わります。計算の考え方をもっと詳しく知りたい方は、ご飯量の計算を解説した記事も参考にしてください。

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実は、給与量表の「体重」は今の体重ではない
意外と知られていないけれど、フードのパッケージにある給与量表の「体重」は、今の体重ではありません。環境省のガイドラインでは、与えるべき食事量は体重に対して表示されていることが多く、このときの体重とは現在の体重ではなく理想体重のことを示している、と説明されています。
これを知らずに今の体重の行を読むと、「今の体を維持する量」を与えることになります。太っている子なら、太った状態を維持する量です。ダイエットのつもりで表どおりに量っていたのに痩せない、というケースの多くはここでつまずいています。
たとえば、獣医師から「理想体重はもう少し軽いところ」と言われた子なら、給与量表は理想体重の行を見ます。その量を基本に、体重の変化を見ながら調整していくのが正しい読み方です。
給与量表の量は「平均的な活動量の犬」を想定した目安なので、そこから先はその子に合わせて調整が必要です。表の読み方は、ダイエットフードの選び方をまとめた記事でも詳しく解説しています。

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計量カップより「はかり」で量る
量を決めたら、次は毎回正確に量ることです。環境省のガイドラインでは、パッケージ表示の食事量を目安に、はかり(なければ計量カップ)でフードを量ることがすすめられています。
はかりが基本になるのは、計量カップだと山盛りか平らかで量がぶれるからです。粒の大きさや形によってもカップ1杯の重さは変わりますし、すくい方が家族ごとに違えばさらに差が出ます。毎日の小さなずれでも、積み重なれば体重に表れます。
状況:ダイエットのためにフードを減らしたつもりで、お皿の縁の少し下まで入れるようにしている。でも体重がほとんど変わらない。
原因:目分量や容器の「だいたい」で量ると、日によって量がぶれやすい。家族が交代でごはんを用意していると、人によって量がさらに違ってくる。
対策:キッチンスケールでグラム単位で量る。1日分を朝にまとめて量って容器に分けておくと、家族の誰が用意しても量がそろう。
はかりを使いはじめると、「思っていたより多くあげていた」と気づく飼い主さんが少なくありません。減らす前に、まず今の量を正確に知るだけでも、ダイエットの半分は進んだようなものです。
1日の量を小分けにして、空腹の時間を短くする
1日の量が決まったら、それを何回に分けるかも工夫のしどころです。第一アイペットの獣医師監修記事など一般的な解説では、ダイエット中は食事の回数を増やして1回の量を減らすなどの工夫が紹介されています。
回数を分けるのは、1日のエネルギー量は変えずに、空腹の時間を短くするためです。減量中は1回あたりの量が少なくなるので、朝と夜だけだと、次のごはんまでの時間が長く感じやすくなります。空腹が続くと、おねだりが増えたり、ごみ箱をあさったりといった行動につながることもあります。
気をつけたいのは、回数を増やすときに「1日の合計」を増やしてしまうこと。朝と夜の量はそのままで、昼に少し足す、というのはよくある失敗です。必ず1日分を先に量り、それを分ける形にしましょう。
1日分から少し取り分けて、おやつ代わりやトレーニングのごほうびに使う方法もあります。こうすれば、ごほうびをあげても1日のエネルギー量は変わりません。早食い防止の食器を使うと、少ない量でも食べる時間が長くなり、満足感につながりやすくなります。
急に減らしすぎない:減量ペースの目安と考え方
減量のペースは、速ければいいというものではありません。獣医師による解説記事では、月に現体重の1〜3%程度の減量が理想的とされています。ただし、減量ペースの目安は媒体によって異なる記述もあるので、その子に合ったペースは獣医師と決めるのが確実です。
ゆっくり進める理由は、急激な減量は体調不良のおそれがあるとされているからです。食事を大幅に減らすと、必要な栄養まで足りなくなったり、空腹のストレスが大きくなったりします。脂肪だけでなく筋肉まで落ちてしまうと、かえって太りやすい体になることもあります。
やりがちなのは、早く結果を出したくて、ごはんを一気に半分近くまで減らしてしまうことです。最初の数週間は体重が落ちても、犬が空腹に耐えられず盗み食いが増えたり、飼い主がかわいそうになっておやつを足したりして、結局もとに戻るパターンがよくあります。
1か月単位で体重の変化を見て、獣医師と決めたペースより速すぎれば量を少し戻し、遅すぎれば少し減らす、という小さな調整を繰り返すのが近道です。
おやつは別腹じゃない:20%ルールとかさ増し食材の選び方

おやつは1日の20%以内、あげた分だけごはんを減らす
ダイエット中でもおやつを完全にやめる必要はありませんが、量の管理は必須です。環境省のガイドラインでは、おやつは1日に必要なエネルギー量の20%以内を目安にし、与えた分だけ主要な食事の量も減らすようにと書かれています。「おやつは別腹などと思っていませんか」という注意喚起もあります。
ポイントは「20%以内」と「その分ごはんを減らす」がセットになっていることです。おやつだけ20%以内に収めても、ごはんを減らさなければ合計は1日の必要量を超えてしまいます。おやつも主食も、同じ1日のエネルギー量の中でやりくりする、と考えるとわかりやすいですよ。
よくあるのが、しつけのごほうびやお留守番のご機嫌取りで、細かいおやつを何度もあげているケースです。1回は小さくても、回数が多いと合計は意外にふくらみます。おやつのパッケージには1本・1粒あたりのカロリーが書かれていることが多いので、1日に何回あげているかと掛け合わせて把握しておきましょう。
おやつの選び方と量の目安は、低脂肪おやつを解説した記事でも詳しく紹介しています。

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「20%」と「10%」、目安が違うのはなぜ?
おやつの目安を調べると、20%以内と書かれている情報と、10%以内と書かれている情報があって迷うかもしれません。環境省のガイドラインは1日に必要なエネルギー量の20%以内を目安としている一方で、ダイエットについて解説した獣医師の記事では、1日の総摂取カロリーの10%以内という目安が紹介されています。
この違いは、どちらが正しいというより、何を前提にした目安かの違いと考えるとわかりやすいです。20%はあくまで「これを超えないように」という上限の目安で、ダイエット中はそこから余裕を持たせて少なめにする考え方もあります。おやつが多いほど、主食の総合栄養食から取れる栄養の割合が減るからです。
ありがちな失敗は、「20%まではあげていい」と受け取って、上限いっぱいまでおやつをあげることです。主食の量を減らしているダイエット中に、おやつの割合まで大きくすると、栄養バランスが偏るおそれがあります。
ダイエット中のおやつの割合は、減量計画を立てるときに獣医師と一緒に決めておくのがおすすめです。少なくとも、20%は「目指す量」ではなく「超えない線」と覚えておいてください。
キャベツ・さつまいも・ささみを成分表で比べてみる
ごはんの量を減らすと物足りなさそうにする子には、低カロリーの食材でかさを増やす方法がよく紹介されます。ここでは文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の値で、よく話題になる3つの食材を比べてみます。
| 項目 | キャベツ(結球葉・生) | さつまいも(皮つき・蒸し) | ささみ(若どり・生) |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 23kcal | 129kcal | 98kcal |
| 特徴的な成分 | 水分92.9g・脂質0.1g・食物繊維1.8g | 炭水化物33.7g・食物繊維3.8g | たんぱく質23.9g・脂質0.8g |
| ダイエットでの位置づけ | 水分が多くかさを出しやすい。加熱して細かく刻み少量から | 食物繊維はあるが炭水化物が多い。かさ増しより「おやつ枠」で少量 | 低脂質・高たんぱく。生では与えず、必ず加熱してから |
出典:文部科学省「食品成分データベース」キャベツ・さつまいも・ささみ。いずれも人の食品としての値です。
比べてみると、同じ「ヘルシーな食材」でもエネルギーの差がはっきりわかります。さつまいもは体によさそうなイメージから多めにあげがちですが、キャベツと比べると100gあたりのエネルギーは5倍以上です。
注意したいのは、トッピングを足した分も1日のエネルギー量に数えることです。また、主食を大きく野菜に置き換えると、総合栄養食から取れる栄養が減ってしまいます。初めての食材は少量から試し、体質に合わない様子があればやめて、食欲や便の様子がいつもと違うときは獣医師に相談を。
ダイエット向けフードや間食は「表示」で比べる
フードやおやつを選び直すときは、パッケージの表示で比べるのが基本です。ペットフード公正取引協議会の説明では、間食(おやつ)には給与限度量や給与回数、与え方の表示が求められています。おやつのパッケージにある「1日の上限」は、ダイエット中の量を考える目安になります。
ダイエット向けのフードには「ライト」などの表示がついているものもありますが、名前の印象だけで選ぶのは危険です。比べるべきなのは、100gあたりのエネルギー(代謝エネルギー)の数値です。表示の名前が違っても、実際のエネルギー差は商品によってまちまちです。
「無添加」の表示も、カロリーの低さとは関係ありません。公正取引協議会の説明では、何が無添加なのかが明確に併記されているなどの条件を満たす場合に限り表示できるとされています。無添加をうたうおやつでも、エネルギー量は普通にあります。
なお、体重管理を目的とした療法食は、獣医師の指導のもとで与えるものです。自己判断で選んだり切り替えたりせず、動物病院で相談してください。フードを切り替えるときは、前のフードに少しずつ混ぜて移行するのが基本です。
散歩と体重測定、続けるための現実的なやり方
散歩は10〜15分から、1〜2週間ごとに少しずつ延ばす
ダイエットは食事だけでなく、運動とのセットで考えます。環境省のガイドラインでも、肥満を防ぐには適度な運動と食事管理が必要とされています。
とはいえ、太っている子にいきなり長い散歩をさせるのは逆効果です。獣医師による解説記事では、最初は10〜15分程度の短めの散歩から始め、1〜2週間ごとに少しずつ距離や時間を延ばしていく方法が紹介されています。体重が重いぶん関節や心臓への負担が大きいので、体を慣らしながら少しずつ増やすのが安全です。
やりがちなのが、「週末にまとめて長く歩けばいい」と、平日は短く、休日だけ何時間も歩くパターン。急な運動量の変化は体に負担がかかりますし、翌日に疲れて動かなくなれば、トータルの運動量はあまり増えません。毎日少しずつのほうが続けやすく、体への負担も少なくなります。
散歩中に座り込む、息が荒くなる、足をかばうような歩き方をする場合は無理をせず、獣医師に相談してください。暑い季節は涼しい時間帯を選ぶなど、季節に合わせた工夫も大切です。
運動だけで痩せようとするより、「食事で減らす・運動で維持する」と役割を分けて考えるほうが続けやすくなります。散歩を増やして食欲が増したぶん、ごはんやおやつが増えていないかも一緒にチェックしましょう。
体重は週1回、抱っこして人の体重を引く
体重をはかる頻度について、環境省のガイドラインでは週1回程度がおすすめとされています。はかり方は、犬を抱いて体重計に乗り、そこから人の体重を引く方法が紹介されています。
毎日はからない理由は、1日単位の体重は食事や排せつ、水を飲んだ量でも変わるからです。毎日はかると小さな上下に一喜一憂してしまい、量を頻繁に変えすぎる原因になります。週1回、同じ条件ではかって、流れを見るほうが判断を誤りにくくなります。
気をつけたいのは、はかる条件がバラバラになることです。朝ごはんの前と夜ごはんの後では体重が変わりますし、抱っこする人が服を着替えていれば人の体重もずれます。「毎週日曜日の朝ごはん前」のように曜日と時間を決めておくと、比べやすいデータになります。
小型犬の場合は、人の体重計だと細かい変化が拾えないこともあります。そういうときは、動物病院の体重計でときどき確認させてもらうと安心です。体重が思った方向に動いていないときの判断材料にもなります。
家庭のタイプ別:記録とおやつ管理の分担のしかた
ダイエットがうまくいくかどうかは、家庭の中で「誰が何を管理するか」で大きく変わります。家庭のタイプによって、つまずきやすいポイントが違うんです。
家族が多い家庭では、おやつを誰があげたかわからなくなるのが最大の落とし穴です。1日分のおやつを朝に小分けの容器に入れておき、「この中からだけあげる」ルールにすると、合計が自然に20%以内に収まります。
共働きで日中は留守番が多い家庭では、帰宅後に甘えられておやつが増えがちです。帰宅後のあいさつはおやつではなく、なでる・声をかけるなど食べ物以外のコミュニケーションにしておくと、1日のエネルギー量がぶれにくくなります。
一人暮らしで自分がすべて管理する家庭は、記録を習慣にしやすい反面、つい自分の食事から分けてしまう場面があります。人の食べ物は味付けがされていることも多いので、あげないと決めておくのが確実です。
どの家庭でも、体重・BCS・その週のごはんとおやつの量をひとつのノートやスマホのメモにまとめておくと、獣医師に相談するときにもそのまま見せられます。
犬とダイエットがうまくいかないとき:痩せない原因とシニア・小型犬の注意点
1か月たっても体重が動かなければ、見直しと相談を
計画どおりに進めているつもりでも、体重がなかなか落ちないことはあります。獣医師による解説記事では、1か月取り組んでも体重が変化しない場合は獣医師に相談するよう書かれています。
痩せない原因として多いのは、見えないエネルギーが紛れ込んでいるケースです。家族の誰かがこっそりおやつをあげている、散歩中にもらったおやつを数えていない、トッピングの量が少しずつ増えている、といったことがよくあります。給与量表を今の体重の行で読んでいた、というのも見落としやすいポイントです。
まずは1週間分の記録を見直して、「量ったつもりで量っていなかったもの」がないか確かめてみましょう。それでも原因が見つからない場合は、食事以外の要因が関わっていることもあります。
体重が落ちないからといって、飼い主の判断でさらにごはんを大きく減らすのは避けてください。食欲や元気、便の様子がいつもと違う場合も含めて、記録を持って獣医師に相談し、量や進め方を一緒に見直してもらうのが安全です。
シニア犬のダイエットは「減らしすぎ」に気をつける
12歳以上では40%以上が肥満という報告があるように、シニア犬こそ体重管理が必要な年代です。ただし、若い犬と同じ感覚で進めるのは注意が必要です。
シニア期は、活動量が落ちて必要なエネルギー量が減る一方で、筋肉も落ちやすくなります。食事を大きく減らすと、脂肪と一緒に筋肉まで減ってしまい、足腰が弱って動きにくくなることがあります。そうなると、さらに運動量が減るという悪循環に入りかねません。
ありがちなのは、「年だから太るのは仕方ない」と放っておくか、逆に「肥満はよくない」と急に厳しくダイエットを始めるかの両極端です。どちらもシニア犬の体には負担になります。持病がある子も多い年代なので、自己判断での減量は避けて、獣医師と理想体重やペースを決めることが大切です。
散歩の時間を延ばすより、ゆっくりでも毎日歩く習慣を保つほうを優先しましょう。食事量の見直し方や食べやすさの工夫は、シニア犬の食事を解説した記事と組み合わせて考えると取り入れやすくなります。
小型犬は「少しの差」が大きく響く
小型犬のダイエットで気をつけたいのは、量の小さなずれが体重に占める割合として大きくなることです。同じ数グラムのおやつでも、体の小さな犬にとっては1日のエネルギー量の中で大きな割合を占めます。
そのため、小型犬ほど「はかりで量る」「おやつをカロリーで把握する」ことの効果が大きく出ます。反対に、目分量で与えている家庭ほど、知らないうちに必要量を超えていることがあります。適正体重の15%超えという肥満の目安も、小型犬の場合は見た目ではほとんどわからない差です。
また、環境省の資料にある体重×30+70の計算式は、一定の体重範囲の犬を対象にしたものです。ごく小さな犬は計算式がそのまま当てはまらないことがあるので、食事量は獣医師に確認し、パッケージの給与量表と体重の変化を見ながら調整しましょう。
体重計の数字の変化が小さくて判断しにくいときは、BCSの触診を記録に加えると、変化に気づきやすくなります。

まとめ
犬のダイエットでいちばん大切なのは、「なんとなく減らす」をやめて、ゴールと量を数字で決めることです。理想体重は現在の体重とBCSから獣医師に求めてもらい、その体重をもとに体重×30+70で安静時のエネルギー量を出し、係数とパッケージの代謝エネルギーからグラム数に直します。給与量表の体重が理想体重を指していることを知っておくだけでも、「量っているのに痩せない」という失敗はぐっと減らせます。
おやつやトッピングは、ダイエット中でも上手に使えば楽しみとして残せます。ただし、環境省のガイドラインが示すように、おやつは1日に必要なエネルギー量の20%以内を目安にし、与えた分だけ主食を減らすのがルールです。散歩は10〜15分程度の短い時間から始め、体を慣らしながら少しずつ延ばしていきましょう。避妊・去勢後やシニア期は必要なエネルギー量が変わりやすい時期なので、とくに早めの見直しが役立ちます。
最初の一歩としておすすめなのは、今日から週1回、同じ曜日・同じ時間に体重をはかって記録することと、今のごはんをはかりで量り直してみることです。1か月取り組んでも体重が変わらないときや、食欲や便の様子がいつもと違うときは、記録を持って獣医師に相談してください。本格的なダイエットが必要な場合は、必ず獣医師の指導のもとで進めましょう。
※フードの給与量や表示内容は製品ごとに異なります。最新情報は各メーカーの公式サイトやパッケージでご確認ください。

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