子犬を迎えた日から、ご飯のことで迷う場面は一気に増えます。「1日何回あげればいいの?」「ふやかすのはいつまで?」「成犬用にはいつ変えるの?」。どれも正解がひとつに決まっているように見えますが、答えを左右しているのは、実は「今の月齢」と「成犬になったときの体の大きさ」の2つです。
先に結論をお伝えすると、子犬ご飯の基本は「成長期用(子犬用)の総合栄養食を、月齢に合った回数に分けて与え、成長期の終わりが近づいたら1〜2週間かけて成犬用へ切り替える」ことです。環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」では、成長期を生後50日から、小型犬で10か月ぐらい、中型犬で1年ぐらい、大型犬で1年半ぐらいの期間としています。同じ「子犬」でも、小型犬と大型犬では子犬用フードを食べる期間そのものが違うわけです。
この記事では、離乳期から成犬用への切り替えまでを月齢の流れに沿って整理し、パッケージの表示の読み方、食事の回数、ふやかし方、大型犬ならではの注意点、避けたい食材とおやつのルールまで、ペットフード公正取引協議会や環境省などの一次情報をもとに「なぜそうするのか」から解説します。
・哺乳期・離乳期・成長期・成犬期の区切りと、サイズで変わる「子犬期の長さ」
・袋の裏で見るべき「総合栄養食」と「成長段階」の表示
・月齢別の食事回数、ふやかし方、成犬用フードへの切り替え時期と手順
・子犬に与えてはいけない食材、誤飲の注意点、おやつは1日の20%以内という目安
子犬ご飯は4つの時期で変わる|哺乳期・離乳期・成長期・成犬期の目安

生後30日ぐらいまでは、母乳かミルクがご飯のすべて
生まれてから30日ぐらいまでの「哺乳期」は、母犬の母乳がそのまま子犬のご飯です。環境省のガイドラインでも哺乳期を「誕生〜30日ぐらい」とし、母乳が飲めないときは犬専用のミルクを与えるよう案内しています。
理由はシンプルで、この時期の子犬はまだ固形物を噛んで消化する準備ができていないからです。同じガイドラインによると、犬は生まれてから約1か月で28本の乳歯が生えそろうとされています。つまり哺乳期の終わりごろにようやく歯がそろい、そこから「噛んで食べる」練習が始まる、という順番です。
やりがちなのは、保護した子犬や自宅で生まれた子犬に「早く大きくなってほしい」と、ふやかしたフードを急いで与えてしまうケースです。消化の準備が整う前に食べ物を変えると、お腹に負担がかかりやすくなります。
ペットショップやブリーダーから迎える場合、多くは離乳が進んだあとなので、家庭でこの時期のご飯を用意する場面は限られます。もし哺乳期の子犬を世話することになったら、ミルクは「犬専用」と書かれたものを選び、量や回数は製品の表示に従うのが基本です。
生後20〜60日の離乳期は「やわらかいフード」に慣らす期間
離乳期は、母乳から固形のご飯へ移っていく橋渡しの時期です。環境省のガイドラインは離乳期を「生後20〜60日ぐらい」とし、やわらかくしたフードを少しずつ与えるよう案内しています。使うフードは離乳期用か成長期用です。
哺乳期(〜30日ぐらい)と離乳期(20日ぐらい〜)の期間が重なっているのは、ある日突然母乳をやめるのではなく、母乳を飲みながら少しずつフードを覚えていくからです。フードメーカーの公式情報でも、離乳は通常生後3〜5週間ほどで始まり、生後8週頃に完了すると説明されています。
ここで差が出るのは、子犬を迎える時期です。生後60日前後で家に来た子犬は、離乳が終わったばかりで、まだふやかしたフードに慣れていることが少なくありません。家に来た初日から固いままのドライフードを出すと、食べにくそうにしたり、残したりすることがあります。
コツは、迎える前に譲渡元へ「今どのフードを、どんな状態(ふやかし・固形)で、1日何回食べているか」を必ず確認しておくことです。最初の数日は同じフードを同じ形で与え、環境の変化とご飯の変化を同時に起こさないようにしましょう。
成長期は小型犬で10か月、大型犬で1年半と、終わりがサイズで違う
離乳が終わると、体が急速に大きくなる「成長期」に入ります。環境省のガイドラインでは成長期を生後50日から、小型犬で10か月ぐらい、中型犬で1年ぐらい、大型犬で1年半ぐらいの期間としています。そのあとに続く成犬期は、成長期を終えてから7年間(大型犬では5年程度)とされています。
なぜサイズで差が出るのかというと、大きな犬ほど成犬の体重にたどり着くまでに時間がかかるからです。大型犬や超大型犬の栄養に関する資料では、成犬時の体重が45kgを超えるような犬は、成犬の体重に到達するまで最大で生後24ヵ月かかるとされています。
よくあるのが、「1歳になったら成犬」と一律に考えてしまうことです。小型犬なら1歳の時点ですでに成長期を終えていることが多い一方、大型犬の1歳はまだ成長の途中です。同じ「1歳」でも、ご飯の考え方は変わります。
まずは愛犬が小型・中型・大型のどれに当たるかを把握しましょう。ミックス犬で成犬時のサイズが読みにくい場合は、ワクチン接種などで動物病院に行ったときに、予想される成犬時の大きさを聞いておくと、切り替え時期の見通しが立てやすくなります。
子犬に子犬用フードが必要なのは、体重あたりのエネルギーが成犬と違うから
子犬には成犬用ではなく、成長期用(子犬用)のフードを与えるのが基本です。理由は、体を維持するだけでなく「体をつくる」ためのエネルギーと栄養が必要だからです。
大型犬の子犬の栄養に関する資料では、生後4ヵ月までの子犬の体重1kgあたりのエネルギー要求量は、同じ犬種の成犬のおよそ2倍とされています。子犬が成長するにつれて、このエネルギー要求量は減っていきます。小さな体で大人の倍近いエネルギーを使っている、とイメージするとわかりやすいでしょう。
やりがちな失敗は、「家に成犬用のフードがあるから」「成犬の兄弟犬と同じものでいいだろう」と、成犬用を子犬に与え続けることです。成犬用(維持期用)は成長期の栄養を満たす前提で作られていないため、同じ量を食べても成長に必要な分が足りなくなるおそれがあります。
パッケージでは「成長期用」「子犬用」、あるいは「全ライフステージ対応」といった表記を確認します。この表記の意味は次の章でくわしく説明しますが、「子犬に使ってよいフードかどうか」は表示で判断できる、という点をまず押さえておいてください。
| 項目 | 小型犬 | 中型犬 | 大型犬 |
|---|---|---|---|
| 成長期(環境省ガイドライン) | 生後50日から10か月ぐらい | 生後50日から1年ぐらい | 生後50日から1年半ぐらい |
| 成長期の終了(メーカー公式FAQ) | 10ヵ月齢 | 12ヵ月齢 | 15ヵ月齢 |
| 1日3回以上を続ける目安(メーカー公式FAQ) | 生後4ヵ月齢まで | 生後6ヵ月齢まで | 生後6ヵ月齢まで |
| 成犬用への切り替えが一般的な時期 | 10〜12ヵ月齢 | 記載なし(小型と大型の間) | 12〜14ヵ月齢 |
出典:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」、ロイヤルカナン 子犬の食事に関するFAQほかメーカー公式情報をもとに作成
袋の裏のどこを見る?子犬用フードは「総合栄養食」と「成長段階」の2か所で選ぶ
「総合栄養食」は、フードと水だけで成長段階の健康を保てる区分
子犬の主食にするフードは、パッケージに「総合栄養食」と書かれたものを選びます。ペットフード公正取引協議会は総合栄養食を「毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフード及び水のみで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれたもの」と定義しています(ペットフード公正取引協議会)。
ポイントは「指定された成長段階における」という部分です。総合栄養食であっても、それが成犬の維持期に向けたものなのか、成長期に向けたものなのかで中身は違います。さらに総合栄養食は、基準を満たしていることを分析試験で証明したのか、給与試験で証明したのかを、定められた方法で表示することになっています。
やりがちな失敗は、パッケージ表面の「子犬に」「パピー」といったイメージだけで選び、裏の表示を見ないことです。表面のデザインは自由度が高い一方、目的や成長段階の表示には決まったルールがあります。
見るべき場所は、袋の裏や側面の表示欄です。「総合栄養食」の文字と、その近くにある対象の成長段階の表記をセットで確認しましょう。

「成長期用」「全ライフステージ対応」の表記で、子犬に使えるかを判断する
総合栄養食の表示には、そのフードが対応する成長段階が書かれています。子犬に与えるなら、「成長期用(子犬用)」か、成長期も含めて対応する「全ライフステージ対応」の表記があるものが対象です。
なぜこの表記が大事かというと、成長期の子犬は、先ほど触れたように体重あたりのエネルギー要求量が成犬と大きく違うからです。大型犬の子犬の栄養に関する資料でも、骨格が成熟するまでは成長期用の総合栄養食を与え、維持期用のフードは推奨されないが、「全ライフステージ対応」の表記があるフードは使えるとされています。
ありがちなのは、「全年齢対応」と書かれているから何でも同じだと考え、成長期用と全ライフステージ用の違いを気にしないケースです。どちらも子犬に使えますが、給与量の表は製品ごとに違うため、同じ感覚で量を決めると過不足が出ます。
総合栄養食には、体重ごとの給与量と給与回数を表示することも定められています。成長段階の表記を確かめたら、同じ欄にある給与量表で、子犬の体重と月齢に当てはまる行を確認する。この2段階で見るのが確実です。
総合栄養食=そのフードと水だけで、指定された成長段階の健康を維持できる主食。子犬の主食はこれ。
間食=おやつやごほうび。給与限度量などが表示される。
療法食=獣医師の指導に基づいて与えるべき旨が表示されるフード。
その他の目的食=上の3つのいずれにも当てはまらないもの。「一般食(おかずタイプ)」「副食」「栄養補完食」などと書かれる。
(ペットフード公正取引協議会「ペットフードの目的別分類」)
「一般食」「おかずタイプ」だけでは、子犬の主食にならない
缶詰やパウチに「一般食」「おかずタイプ」と書かれているものは、総合栄養食ではありません。ペットフード公正取引協議会の分類では、総合栄養食・間食・療法食のどれにも当てはまらないものを「その他の目的食」とし、一般食(おかずタイプ)・副食・栄養補完食などと記載されるとしています。
理由は、これらは単体で必要な栄養をまかなうことを前提に作られていないからです。香りがよく子犬の食いつきがよいことも多いため、つい主食代わりにしたくなりますが、それだけを続けると栄養が偏るおそれがあります。
典型的な失敗は、ドライフードを残す子犬に「これなら食べるから」とおかずタイプの缶詰だけを与えるようになるパターンです。子犬は好みを覚えるのが早く、主食を食べなくなる悪循環に入りやすくなります。
使うなら、総合栄養食に少量をトッピングする形にとどめ、トッピングしたぶんは主食の量を調整します。同じ見た目のウェットフードでも「総合栄養食」表記のものなら主食になるので、ウェットを使いたい場合は表示で区分を確かめてから選びましょう。
ペットフード安全法の5項目と、開封後の使い切り目安で袋の大きさを選ぶ
表示のうち、法律で義務付けられている項目もあります。ペットフード安全法は平成21年(2009年)6月1日に施行され、犬と猫のペットフードが対象です(環境省 ペットフード安全法)。名称、賞味期限、原材料名、原産国名、事業者名及び住所の5項目の表示が義務付けられているほか、酸化防止剤として使われるエトキシキン・BHT・BHAは合計で150µg/g、犬用ではエトキシキン単体で75µg/g以下という上限値が定められています。
もうひとつ子犬の家庭で大事なのが、袋の大きさです。環境省のガイドラインでは、ドライフードの開封後の使用期限の目安を約1か月としています。子犬は体が小さく1日に食べる量が少ないので、大袋を買うと使い切る前に1か月を過ぎてしまいがちです。
やりがちなのが、「大袋のほうが割安だから」と成犬向けの大容量を選び、湿気や酸化が進んだフードを与え続けることです。開封後は空気に触れるたびに品質が落ちていきます。
保存場所は、直射日光を避け、温度・湿度が低い常温の場所が基本です。冷蔵庫は出し入れのたびに結露が生じ、カビの原因になることがあるため、ドライフードには向きません。1か月で使い切れるサイズを選び、賞味期限も袋ごとに確認しましょう。
1日何回に分ける?月齢とサイズで変わる食事回数の目安

小型犬は生後4ヵ月齢まで、1日3回以上に分けるのが目安
超小型犬・小型犬の子犬は、生後4ヵ月齢までは1日3回以上に分けて与え、その後1日2回へ移行するのが目安です。フードメーカーの公式FAQでもこの回数がすすめられています(ロイヤルカナン 子犬の食事FAQ)。
回数を分ける理由は、子犬の胃が小さいことと、エネルギー要求量が高いことの組み合わせにあります。1日に必要な量を1〜2回でまとめて食べようとすると、一度の量が胃の容量に対して多くなり、吐き戻しや食べ残しにつながります。小分けにすれば、1回あたりの負担を軽くしながら必要な量を確保できます。
やりがちな失敗は、1日の量を正しく計っているのに、朝晩の2回にまとめてしまうことです。量は合っていても、1回の量が多すぎて食べきれず、「食が細い子」だと誤解してしまうことがあります。
コツは、パッケージの給与量表で出した1日量を先に決め、それを回数で割ることです。回数を増やしても1日の合計量は変えません。計量カップより、キッチンスケールで重さを量るほうがぶれが少なくなります。
中型犬・大型犬は生後6ヵ月齢まで、1日3回以上を続ける
中型犬・大型犬の子犬は、生後6ヵ月齢までは1日3回以上の食事がすすめられています。小型犬より2か月長く、3回以上を続けるイメージです。大型犬の子犬の栄養に関する資料でも、6ヵ月になるまでは1日に最大4回に分けて与えるのが理想で、6ヵ月を過ぎたら1日2回で十分とされています。
サイズによって期間が違うのは、成長期そのものの長さが違うからです。大型犬ほど長い期間をかけて大きくなるため、エネルギーを多く必要とする時期も長く続きます。一方で、一度にたくさん食べさせると急な成長につながりやすいという面もあり、小分けにすることには量を穏やかに管理する意味もあります。
よくあるのが、大型犬の子犬がよく食べるからと、4ヵ月ごろに小型犬と同じ感覚で2回に減らしてしまうケースです。1回の量が増え、早食いや吐き戻しの原因になることがあります。
回数の目安は「月齢」と「成犬時のサイズ」の組み合わせで決まります。上の比較表の「1日3回以上を続ける目安」の行を、愛犬のサイズの列で確認しておきましょう。
① 1日の合計量は、フードの給与量表で先に決める(回数を増やしても合計は変えない)
② 小型犬は生後4ヵ月齢まで、中型・大型犬は生後6ヵ月齢まで1日3回以上が目安
③ 回数を減らすときは、月齢に加えて「1回分を無理なく食べきれているか」を見て判断する
回数を減らすタイミングは「月齢」と「食べ方」の両方で見る
回数は月齢に合わせて段階的に減らしていきます。アメリカンケネルクラブ(AKC)の推奨として紹介されている目安では、6〜12週齢の子犬は1日4回、3〜6ヶ月齢は1日3回、6〜12ヶ月齢は1日2回とされています。
とはいえ、月齢に届いた日にいきなり回数を減らす必要はありません。回数を減らすと1回あたりの量が増えるので、その量を無理なく食べきれるかどうかが判断材料になります。食べ残しが増えたり、食後に吐き戻したりするなら、まだ前の回数のほうが合っているサインです。
ここで役立つのが、読者タイプ別の考え方です。在宅時間が長い家庭なら、月齢の目安どおりに回数を確保しやすいでしょう。共働きで昼に家を空ける家庭は、朝・帰宅後・寝る前の3回に分けるなど、生活リズムの中で回数を確保する工夫が現実的です。昼の1回を抜いて朝晩に寄せる場合も、1回の量が多くなりすぎないかを確認します。
回数を変えるときは、1日の合計量は変えずに、配分だけを変えるのがコツです。量と回数を同時に動かすと、体調に変化が出たときに原因を切り分けにくくなります。

食べ残しは30分を目安に片付ける理由
子犬がご飯を食べ終わるまで、およそ30分待ち、食べ残しがあれば片付ける。大型犬の子犬の栄養に関する資料では、このような与え方が紹介されています。出しっぱなしにする「置き餌」は、子犬期には避けたほうが管理しやすくなります。
理由のひとつは、食べた量が把握できなくなることです。いつでも食べられる状態だと、1日にどれだけ食べたのか、食欲が落ちているのかが見えなくなります。子犬の食欲は体調を知る手がかりなので、「出した量」と「食べた量」がわかる状態にしておくことに意味があります。
もうひとつは衛生面です。とくにウェットフードやふやかしたフードは水分を含むため、時間がたつと傷みやすくなります。環境省のガイドラインでも、ウェットフードの開封後の使用期限の目安は1日とされており、水分の多いご飯ほど早く片付ける意識が大切です。
やりがちなのは、「残すともったいないから」と食べ残しを次の食事まで置いておくことです。片付けた分は次の回に回さず、残しが続くなら1回の量や回数を見直すきっかけにしましょう。
ふやかしはいつまで?60℃・2倍・15分の理屈と固形への移し方
ふやかすのは、噛む力と消化の準備が整うまでの「つなぎ」
ドライフードをふやかすのは、離乳期から間もない子犬が食べやすく、お腹に負担をかけにくくするためです。環境省のガイドラインでも、離乳期には「やわらかくしたフード」を少しずつ与えるよう案内しています。
背景にあるのは、歯と消化のしくみです。犬は生まれてから約1か月で28本の乳歯が生えそろい、3〜7か月で42本の永久歯に生え変わるとされています。離乳直後の子犬は、乳歯はあっても固い粒をしっかり噛み砕くことにまだ慣れていません。やわらかくしたフードは、この「慣れるまでの期間」を支える役割を持っています。
一方で、ふやかしは「ずっと続けるもの」ではありません。固い粒を噛む経験は、食べ方そのものを覚えることにもつながります。いつまでもやわらかいご飯だけを与えていると、固形のフードに移るときに食べたがらないことがあります。
ふやかしはあくまで離乳期から固形食への橋渡しと考え、次の見出しで紹介する目安の時期を過ぎたら、少しずつ固形の割合を増やしていくのが基本です。
お湯は60℃程度をドライフードの重さの2倍、15分ふやかして人肌に冷ます
ふやかし方の具体的な数値は、フードメーカーの公式FAQにあります。ぬるま湯(60℃程度)をドライフードの重さの2倍注ぎ、15分ほどふやかし、与える前に人肌くらいの温度まで冷ます、という方法です。
なぜ熱湯ではなくぬるま湯なのかというと、ふやかしの目的はあくまで粒をやわらかくすることで、煮るように加熱することではないからです。重さを基準にお湯の量を決めるのは、フードの粒の大きさや密度に関係なく、毎回同じやわらかさに近づけるためです。
やりがちなのは、急いでいて冷ましきらないまま出してしまうことです。表面はぬるくても、器の底や粒の中心に熱が残っていることがあります。スプーンでかき混ぜてから、中まで冷めたかを確認しましょう。

固形に移るのは7〜8週齢以降。譲渡元でふやかしていたら1〜2週間は続ける
フードメーカーの公式FAQでは、ふやかしをやめる目安を、離乳が完了する7〜8週齢以降としています。ただし、迎える前に譲渡元でふやかしたフードを食べていた場合は、家に来てから1〜2週間はふやかしを続け、そのあと固形に切り替えるよう案内されています。
ここで大事なのは、月齢の目安よりも「その子が今まで何を食べてきたか」を優先する点です。家に来たばかりの子犬は、環境の変化だけで体調を崩しやすい状態にあります。そこにご飯の変化まで重なると、負担が大きくなります。
固形への移し方は、いきなりふやかしをやめるのではなく、浸す時間を少しずつ短くしたり、ふやかしたフードに固形の粒を少し混ぜたりして、段階的に進めるのが基本です。便の状態や食べる様子を見ながら、固形の割合を増やしていきます。
やりがちなのは、「もう8週を過ぎたから」と、迎えた翌日から固いドライだけにしてしまうことです。次の失敗パターンで、その理由を整理します。
状況:生後2か月ほどで迎えた子犬に、家で用意していた別のフードを、固いまま翌日から与えた。すると食べ残しが続き、便もゆるくなった。
原因:環境の変化に加え、フードの種類と形(ふやかし→固形)を同時に変えたこと。環境省のガイドラインも、食べ慣れていないフードに切り替えると吐いたり下痢をしたりすることがあると説明しています。
対策:最初は譲渡元と同じフード・同じ形で与え、家の環境に慣れてから、種類の切り替えと固形への移行を1つずつ進めます。
成犬用フードへはいつ切り替える?「10ヵ月・12ヵ月・15ヵ月」の境目
切り替え時期は、成犬時のサイズで2〜5か月ずれる
成犬用フードへの切り替え時期は、犬のサイズによって違います。フードメーカーの公式FAQでは、超小型犬・小型犬は10ヵ月齢、中型犬は12ヵ月齢、大型犬は15ヵ月齢で成長期が終了するとしています。別のメーカーの公式情報では、小型犬は10〜12ヵ月齢、大型犬は12〜14ヵ月齢で成犬用フードへ切り替えるのが一般的と紹介されています。
数字に幅があるのは、「成長期の終わり」がはっきりした一日で区切れるものではないからです。同じ小型犬でも、体重の増え方が落ち着く時期には個体差があります。また、大型犬・超大型犬は15ヵ月から2年の間に成熟するとも説明されており、サイズが大きいほど幅も広がります。
見落としがちなのは、ミックス犬や、同じ犬種でも体格差が大きい犬です。子犬のうちは小さくても、成犬になると中型〜大型になることもあり、その場合は小型犬の目安で切り替えると早すぎることがあります。
判断に迷うときは、体重の増え方が緩やかになってきたかをひとつの目安にします。月1回程度、同じ条件で体重を量って記録しておくと、成長のカーブが見えやすくなります。
1〜2週間かけて混ぜる理由は「食べ慣れないフード」への反応を小さくするため
成犬用への切り替えは、一度に全部を変えず、少しずつ混ぜながら進めます。環境省のガイドラインでは、ある年齢になったからといって急にその年齢用のフードに切り替えるのはあまり良いことではなく、犬の状態を見ながら1〜2週間かけて新しいフードの割合を徐々に増やすよう案内しています(環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」)。メーカー公式FAQでも、1週間ほどかけて混ぜながら切り替える方法がすすめられています。
なぜ一気に変えるとよくないのかというと、同ガイドラインが説明しているように、食べ慣れていないフードに切り替えると、吐いてしまったり下痢をしたりすることがあるからです。原材料や脂質の量、粒の形が変わると、お腹がその変化に慣れるまで時間がかかります。
進め方は、最初は今のフードを多めにして新しいフードを少し混ぜ、数日ごとに新しいフードの割合を増やしていく流れです。便の状態や食べる様子を見て、ゆるくなったら割合を増やすペースを落とします。
コツは、切り替え期間中はおやつや新しいトッピングを増やさないことです。変化を1つに絞っておくと、体調に変化が出たときに原因を見分けやすくなります。
「1歳の誕生日に一気に変える」が失敗しやすい理由
成犬用への切り替えでよく起きるのが、区切りのよい日を理由に、一度に全部を変えてしまうパターンです。
状況:1歳の誕生日に「今日から成犬」と、子犬用の残りを片付けて成犬用フードだけにした。数日たっても食べ残しが続いた。
原因:①混ぜずに一度に変えたため、食べ慣れないフードへの反応が出やすかった。②大型犬の場合、1歳はまだ成長期の途中で、切り替え自体が早かった可能性がある。
対策:サイズ別の目安で時期を決め、子犬用が少し残っているうちに成犬用を買い足して、1〜2週間かけて割合を入れ替えていきます。
この失敗の背景には、「年齢で区切る」という人の都合と、「成長が終わったかどうか」という犬の体の状態がずれていることがあります。小型犬なら1歳時点で成長期を終えていることが多いものの、大型犬は15ヵ月齢ごろまで、あるいはそれ以上成長が続くことがあります。
もうひとつの落とし穴は、子犬用フードを使い切ってから成犬用を買うことです。袋が空になった時点で混ぜる材料がなくなり、結果的に一気に切り替えることになります。
切り替え予定の時期が近づいたら、子犬用の残量を見ながら、成犬用を早めに用意しておきましょう。新しいフードは小袋から始めると、合わなかったときの無駄も少なくて済みます。
大型犬の子犬は「たくさん食べさせる」が落とし穴?成長スピードと骨格の話
生後4ヵ月までは、体重あたり成犬のおよそ2倍のエネルギーが要る
大型犬の子犬は、とにかくよく食べます。大型犬の子犬の栄養に関する資料によると、生後4ヵ月までの子犬の体重1kgあたりのエネルギー要求量は、同じ犬種の成犬のおよそ2倍です。そして子犬が成長するにつれて、エネルギー要求量は減り始めるとされています。
ここで押さえておきたいのは、「エネルギー要求量は時期によって変わる」という点です。生後間もない時期にたくさん必要だった量が、成長とともに体重あたりでは少しずつ減っていきます。ところが体重そのものは増えていくので、1日の合計量が増えていく時期と、体重あたりの必要量が減っていく時期が重なります。
やりがちなのは、「よく食べる=もっと必要」と考え、食べっぷりに合わせて量を増やしていくことです。大型犬の子犬は食欲が旺盛なことが多く、欲しがるだけ与えると、必要以上のエネルギーをとってしまうおそれがあります。
量の基準は、食べっぷりではなくパッケージの給与量表です。体重と月齢で行を確認し、定期的に体重を量って、表の数値と体つきを照らし合わせながら調整しましょう。
実は、大型犬ほど「早く大きくする」必要はない
意外と知られていないのですが、大型犬の子犬のご飯で大切なのは「早く大きくすること」ではなく「ゆっくり大きくすること」です。
大型犬の子犬の栄養に関する資料では、大型犬や超大型犬(理想的な体型を前提とした成犬時の体重が45kg超)は、成犬時の体重に到達するまでに最大で生後24ヵ月かかるとしたうえで、成長速度が速すぎると発達中の骨や関節にストレスがかかり、骨格形成異常につながることがあると説明しています。
つまり、大型犬の子犬はもともと長い時間をかけて大きくなる体のつくりをしていて、ご飯の量でそのペースを速める必要はないということです。小型犬の感覚で「子犬はたくさん食べさせて育てる」と考えると、かえって体に負担をかけることになりかねません。
成犬時に大型になる子犬を迎えた家庭では、体重の数字だけでなく、上から見たときのくびれや、脇腹を触ったときに肋骨がわかるかといった体つきも一緒に見ていくと、太りすぎに気づきやすくなります。判断に迷うときは、健康診断のついでに体型を見てもらうのが確実です。
カルシウムを「足す」トッピングは、成長期ほど慎重に
成長期の子犬に骨を丈夫にしてほしいと、カルシウムを多く含む食材やサプリメントを足したくなる飼い主は少なくありません。ただ、大型犬の子犬の栄養に関する資料では、カルシウムなどの特定の栄養素の過剰摂取は骨格の形成異常を招く可能性があり、成長期の子犬にとって有害になることがあるとされています。
| 主食の区分 | 骨格が成熟するまで成長期用の総合栄養食。「全ライフステージ対応」表記のフードも可 |
| エネルギーの目安 | 生後4ヵ月までは体重1kgあたり成犬のおよそ2倍。成長につれて減っていく |
| 与えるときの注意 | 欲しがるだけ与えない。カルシウムなど特定の栄養素を足しすぎない。食べ残しは30分ほどで片付ける |
| 回数の目安 | 6ヵ月になるまでは1日に最大4回、6ヵ月を過ぎたら1日2回で十分 |
なぜ「足す」ことが問題になりうるのかというと、総合栄養食はそれ単体で栄養のバランスがとれるように作られているからです。そこに特定の栄養素だけを上乗せすると、バランスが崩れる方向に働きます。「体によさそう」という善意のトッピングが、成長期にはリスクになりうるわけです。
サプリメントや栄養補助の食材を検討する場合は、自己判断で始めず、獣医師に相談してからにしましょう。主食を成長期用の総合栄養食にしていれば、基本的な栄養はそれでまかなえる設計になっています。
骨格が成熟するまで、成長期用の総合栄養食を続ける
大型犬の子犬は、骨格が完全に成熟するまで成長期用の総合栄養食を与えるのが基本です。大型犬の子犬の栄養に関する資料では、維持期用(成犬用)のフードは推奨されないが、「全ライフステージ対応」の表記があるフードは与えてよいとされています。
ここで小型犬との違いがはっきり出ます。小型犬なら10ヵ月齢前後で成犬用へ移るのが一般的ですが、大型犬は成長期がそれより長く、成犬の体重に到達するのに最大で生後24ヵ月かかることもあります。成犬用へ早く移しすぎると、成長期に必要な栄養が足りなくなるおそれがあります。
反対に、「子犬用のほうが栄養があるから」と、成長が終わったあとも子犬用を与え続けるのも考えものです。成長期のエネルギー要求量が高い時期に合わせたフードを、成長を終えた体に与え続けると、エネルギーのとりすぎにつながりやすくなります。
切り替え時期に迷う大型犬の飼い主は、15ヵ月齢前後をひとつの目安にしつつ、体重の増え方が落ち着いてきたかどうかも確認しましょう。どちらとも判断しにくいときは、健康診断の際に骨格の成長具合も含めて相談しておくと安心です。
子犬ご飯で避けたい食べ物は?NG食材・誤飲とおやつ20%のルール
タマネギ類・チョコレート・キシリトールは「少しなら平気」と考えない
子犬に与えてはいけない食材の代表が、タマネギ類・チョコレート・キシリトールです。いずれも環境省のガイドラインで具体的な理由とともに挙げられています。
タマネギに含まれるアリルプロピルジスルフィドという成分は、赤血球を破壊し、犬が大量に食べると血尿や下痢、嘔吐、発熱などを引き起こすおそれがあるとされています。この成分は加熱しても分解されず、同様の成分は長ネギ、ニラ、ニンニクにも含まれます。チョコレートは、テオブロミンが原因で嘔吐、下痢、発熱、けいれんの発作などを引き起こすと説明されています。キシリトールは、少量でも血糖値の低下や嘔吐、肝不全などを引き起こすとされています。
見落としやすいのは、食材そのものではなく「しみ出た汁」や「加工食品」です。ガイドラインでは、ハンバーグやカレーなどタマネギが入った加工食品、エキスがしみ出た味噌汁やすきやきの煮汁も与えてはいけないとしています。キシリトールは人間用のガムや歯磨き粉に含まれることがあります。
対策は、人間の食事を取り分けないことと、置き場所の工夫です。テーブルの上のガムやお菓子、カバンの中身も、子犬の届く高さに置かないようにしましょう。
ブドウ・鶏の骨・生の魚介類は「与え方」まで含めて注意する
ブドウや干しブドウは、環境省のガイドラインで腎不全の原因になるとされ、特に皮は与えてはいけないと書かれています。果物は体によさそうなイメージがありますが、種類によっては避けるべきものがある、という点を押さえておきましょう。
鶏の骨は、縦にさけやすく、噛んで割れるととがった形状になり、のどや消化管を傷つけることがあるため与えてはいけないとされています。乳歯から永久歯へ生え変わる時期の子犬は、何でもよく噛みたがるので、骨付き肉の残りをゴミ箱からあさってしまう事故にも注意が必要です。
生のイカや貝、カニ、エビなどは、ビタミンB1を分解する酵素を持っていることが知られています。同ガイドラインでは猫の例として、体内のビタミンB1が欠乏して後脚の麻痺を引き起こすことを挙げたうえで、魚介類は必ず加熱調理をして与えるよう案内しています。
手作りご飯やトッピングを試したい場合も、こうした食材は避け、使う食材は加熱して、味付けをしないのが基本です。主食は総合栄養食のままにして、トッピングはあくまで少量にとどめましょう。
子犬は何でも口に入れる。誤飲と観葉植物の中毒を防ぐ部屋づくり
ご飯の話からは少し外れますが、子犬の「口に入るもの」の管理は、食事と同じくらい大切です。環境省のガイドラインでは、誤飲はちょっと目を離した隙に起きる場合が多く、命にかかわる事故にもつながると注意を促したうえで、特に子犬は色々なものを口にしてしまうので注意が必要だとしています。
ガイドラインが挙げている誤飲の例には、ストッキング・靴下・ひも・糸のほか、竹串に刺さった食べ物、トウモロコシの芯、種の大きい果物があります。竹串が胃や腸に刺さったり、芯や種が通過できずに詰まったりして、重大な事故につながることがあると説明されています。また、中毒のおそれがある植物として、ユリ(植物全体)、チューリップ(球根)、ポインセチア(茎・葉)、アサガオ(種子)が挙げられています。
やりがちなのは、「うちの子は拾い食いしないから」と油断して、洗濯物や観葉植物を床の近くに置いたままにすることです。子犬期は好奇心が強く、歯の生え変わりで噛みたい欲求も強くなります。
何かを飲み込んだかもしれない、ご飯を食べたあとに吐く、便の様子がいつもと違うといったときは、自己判断で様子を見続けず、早めに獣医師に相談してください。
おやつは1日に必要なエネルギー量の20%以内、与えた分は主食を減らす
子犬のしつけやコミュニケーションにおやつは便利ですが、量には目安があります。環境省のガイドラインでは、おやつは1日に必要なエネルギー量の20%以内を目安にし、与えた分だけ主要な食事の量も減らすよう案内しています。
「1日に必要なエネルギー量」の出発点として、同ガイドラインは安静時のエネルギー要求量を体重から計算する簡易式「体重(kg)×30+70」を示しています(体重2〜45kgの範囲で使える式です)。ただし子犬は成長のためのエネルギーが上乗せされるので、実際の1日量はフードの給与量表で確認するのが確実です。
やりがちなのは、トイレやおすわりの練習で小さなおやつを何度もあげ、1日の合計が主食を圧迫してしまうことです。1回が小さくても、回数が多ければ合計は増えます。おやつの量が多くなると、主食の総合栄養食を食べる量が減り、栄養のバランスが崩れやすくなります。
コツは、1日分のおやつを朝に小皿へ取り分けておき、その中でやりくりすることです。練習用には、1日分の主食のドライフードから数粒を取り分けてごほうびにする方法もあります。間食のパッケージには給与限度量が表示されているので、その数値もあわせて確認しましょう。
まとめ|子犬ご飯は「月齢」と「成犬時のサイズ」で組み立てる
子犬のご飯で迷ったときは、「今の月齢」と「成犬になったときのサイズ」の2つに立ち返ると、ほとんどの疑問に答えが出ます。回数を何回にするか、ふやかしをいつやめるか、成犬用にいつ変えるかは、どれもこの2つの組み合わせで目安が決まっています。とくに大型犬は成長期が長く、たくさん食べさせて早く大きくするのではなく、給与量表と体つきを見ながらゆっくり育てる意識が大切です。
もうひとつの共通点は、「変えるときは少しずつ、1つずつ」です。迎えた直後のフード、ふやかしから固形への移行、成犬用への切り替え。どの場面でも、食べ慣れないものへ一度に変えると、吐いたり下痢をしたりすることがあります。変化を1つに絞り、1〜2週間かけて割合を入れ替えていけば、体調に変化が出たときの原因もつかみやすくなります。
最初の一歩として、今日はいま与えているフードの袋を手に取り、裏の表示欄で「総合栄養食」の文字と対象の成長段階、体重ごとの給与量を確認してみてください。あわせて、愛犬が小型・中型・大型のどれに当たるかを確かめ、成犬用へ切り替える予定の月齢をカレンダーにメモしておくと、慌てずに準備できます。
※フードの表示内容や給与量は製品ごとに異なります。最新情報は各メーカーの公式サイトやパッケージでご確認ください。

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