ペットショップや通販サイトで「ニュージーランド産」と書かれたドッグフードを見かけると、品質がよさそうに感じますよね。広い牧草地で育った羊や牛の姿が浮かび、ほかの国のフードより安心なのでは、と考える飼い主さんは少なくないはずです。
ただ、袋の前面に大きく書かれた「ニュージーランド」という言葉は、原材料の肉が育った場所を指していることもあれば、フードとして最終的に仕上げた国を指していることもあります。ペットフード安全法でいう「原産国名」は後者で、原材料の産地は義務表示に含まれていません。つまり、ニュージーランドドッグフードを選ぶときに最初に見るべきなのは、前面のイメージではなく袋の裏の表示です。
この記事では、農林水産省・環境省の「ペットフード安全法 Q&A」やペットフード公正取引協議会の資料をもとに、「NZ産」表示の読み解き方、ニュージーランドの放牧中心の畜産という背景、目的分類・無添加表示・原材料の並び順の見方までを順に解説します。特定ブランドのおすすめではなく、どの製品を手に取っても使える「表示の読み方」をお伝えします。
・「ニュージーランド産」が原材料の産地なのか、最終加工国なのかの見分け方
・ドライ・ウェット・素材乾燥タイプで原産国が決まる工程の違い
・袋の裏の義務表示5項目と、総合栄養食などの目的分類の読み方
・「無添加」表示の条件と、原材料の並び順から主役の肉を見抜くコツ
ニュージーランドドッグフードとは?「NZ産」が指すものは2通りある

「ニュージーランド産」は肉の産地と仕上げた国、どちらの意味もある
結論から言うと、パッケージに書かれた「ニュージーランド産」には、原材料の肉がニュージーランドで育ったという意味と、フードがニュージーランドで最終的に加工されたという意味の2通りがあります。この2つは同じとは限りません。
理由は、ペットフード安全法で義務づけられている「原産国名」が、原材料の産地ではなく、製造工程のうち最終加工工程を完了した国を示す表示だからです。一方で「ニュージーランド産ラム使用」のような原材料の産地の表示は、義務表示の5項目に含まれない任意の情報です。どちらも「ニュージーランド」という同じ言葉を使うため、読み手が混同しやすくなります。
たとえば、ニュージーランドで育った羊の肉を原料に使い、別の国の工場でドライフードに加工した製品なら、原材料の産地はニュージーランドでも、原産国名は加工した国になります。逆に、ニュージーランドの工場で仕上げたフードでも、原材料の一部が他国から来ていることはありえます。前面のキャッチコピーだけ見て「全部ニュージーランドのもの」と受け取るのは早計です。
見るべき場所は袋の裏の一括表示欄です。「原産国名」の欄に何と書かれているかを確かめ、そのうえで前面や商品説明の「○○産△△使用」がどの原材料を指しているかを読み分けましょう。原材料の産地をもっと詳しく知りたいときは、メーカーの公式サイトや問い合わせ窓口で公表している情報を確認するのが確実です。
原産国は「最終加工工程を完了した国」で決まる
原産国名のルールは一文で言えます。農林水産省・環境省の「ペットフード安全法 Q&A」では、原産国は「ペットフードの製造工程のうち、最終加工工程を完了した国」を記載するとし、それは「実質的な変更をもたらす行為が最終的に行われた国」のことだと説明しています。
なぜ原材料の産地ではなく加工の国なのかというと、ドッグフードは肉・穀物・油脂・ビタミン類など多くの原材料を組み合わせて作るため、原材料ごとの産地を1つの国名に集約できないからです。そこで「どこで製品としての性質が決まったか」を基準にしています。安全法の表示は、問題が起きたときに製品や原因を速やかに特定し、ペットの健康被害を防ぐためのものなので、最終的に製品を仕上げた国がわかることに意味があるわけです。
やりがちなのが、原産国名の欄に「ニュージーランド」とあるのを見て、原材料もすべてニュージーランド産だと思い込むことです。原産国名は「仕上げた国」を示すだけで、原材料の産地を保証する表示ではありません。反対に、原産国名が別の国でも、ニュージーランド産の肉を主原料にしている製品もあります。
環境省のペットフード安全法の基準・規格のページでも、表示項目は「原産国名(最終加工工程を完了した国)」と括弧書きで説明されています。袋の裏で原産国名を見たら、頭の中で「最終加工国」と読み替えると混乱しにくくなります。
原産国名=ペットフード安全法の義務表示の1つ。原材料の産地ではなく、「実質的な変更をもたらす行為が最終的に行われた国」=最終加工工程を完了した国を書く。
原材料の産地=「○○産ラム使用」など任意で書かれる情報。義務表示5項目には含まれない。
ドライは押し出し成型、ウェットはレトルト殺菌が分かれ目
「最終加工工程」はフードのタイプごとに具体的に示されています。安全法Q&Aでは、ドライ及びソフトドライタイプは押し出し成型工程(エクストルーダー)、ウェットタイプはレトルト殺菌工程が、原産国として表示する最終加工工程とされています。ペットフード公正取引協議会の原産国表示に関する資料でも同じ考え方が整理されています。
ドライフードの場合、原材料を混ぜて加熱・加圧しながら押し出し、粒の形にする工程で、フードとしての性質がほぼ決まります。ウェットフードは缶やパウチに詰めたあと、高温で殺菌することで保存できる製品になります。どちらも「この工程を経て初めてドッグフードになる」という段階なので、そこを行った国が原産国になるわけです。
肉をそのまま乾燥させたような素材乾燥タイプについては、「実質的な変更をもたらす最後の工程」を行った国とされています。ここで注意したいのが、輸送や保存のための乾燥や冷凍は「実質的な変更をもたらさない行為」の例に挙げられている点です。エアドライやフリーズドライを打ち出した製品でも、どの乾燥が製品としての性質を決めた工程なのかによって原産国の考え方が変わります。
飼い主さんがすべての製造工程を把握するのは難しいので、実際には「原産国名の欄に書かれた国で、フードとして仕上げられた」と理解しておけば十分です。製造工程まで気になる場合は、メーカーの公式情報で工場の所在や製法の説明を確認しましょう。
| 項目 | ドライ・ソフトドライ | ウェット | 素材乾燥タイプ |
|---|---|---|---|
| 原産国となる最終加工工程 | 押し出し成型工程(エクストルーダー) | レトルト殺菌工程 | 実質的な変更をもたらす最後の工程 |
| 日本でリパックした場合 | 国産とは表示できない | 国産とは表示できない | 国産とは表示できない |
| 「実質的な変更」にあたらない例 | ラベル貼り・容器詰めや包装・単なる詰め合わせ・単なる切断・輸送保存のための乾燥や冷凍 | ||
出典:農林水産省・環境省「ペットフード安全法 Q&A」、ペットフード公正取引協議会「原産国表示に関する事例と考え方」
日本で袋詰めし直しても「国産」にはならない
海外で作られたフードを日本で小分けし直した製品について、安全法Q&Aははっきり答えています。「リパックは製造行為には該当しますが、最終加工工程には該当しません。そのため、日本でリパックしても国産とは表示できません」。ニュージーランドで仕上げたフードを日本で袋詰めし直した場合、原産国名はニュージーランドのままです。
理由は先ほどの「実質的な変更」の考え方です。ラベルを貼る、容器に詰める・包装する、単に詰め合わせる、単に切断するといった行為は、フードの性質そのものを変えないので、原産国を決める工程にはなりません。どれだけ日本国内で手をかけても、中身を作った国が原産国として残ります。
この決まりを知らないと、「日本で袋詰め」「国内で品質管理」といった表記を見て、国産のフードだと誤解してしまうことがあります。国内での品質管理や小分けが丁寧に行われていること自体は、それぞれの製品の情報として意味がありますが、原産国の判断とは別の話です。
確認のコツは、原産国名の欄と、前面や説明文の「国内○○」という言葉を分けて読むことです。原産国名は法律で定められた表示なので、そこにある国名が最終加工国です。説明文の言葉が指しているのが製造なのか、包装なのか、検品なのかを落ち着いて読み分けましょう。
なぜニュージーランドの肉が注目される?放牧中心の畜産という背景
国土の約4割が牧草地・野草地という土台
ニュージーランド産の肉を使ったドッグフードが目立つ背景には、この国の土地の使い方があります。農研機構のニュージーランドの農業に関する資料によると、国土約2,700万haのうち「約4割、1,063万haが牧草地および野草地であり、おもに牧畜業に利用されている」とされています。
国土のこれだけの割合が牧畜に使われているということは、牛や羊の肉が主要な産物の1つだということです。人の食肉として流通するだけでなく、ペットフードの原材料としても利用される余地が大きく、ラムや牛などの肉を前面に出した製品が店頭に並ぶ理由の1つと考えられます。
ここで早合点しやすいのが、「牧草地が広い国の肉だから、ドッグフードとしても優れている」という結論に飛びつくことです。土地の広さは畜産の規模や飼い方の背景を説明するものであって、個々のドッグフードの栄養バランスや品質を示すものではありません。フードとしての良し悪しは、あくまで製品ごとの表示と中身で判断します。
背景を知っておく価値は、「なぜこの国の肉がよく使われるのか」という疑問に筋道が立つことにあります。そのうえで、実際に選ぶときは袋の裏に戻り、原材料名の先頭にどの肉が来ているか、目的分類は何かを確認していきましょう。
家畜の飼い方は放牧が基本、出産も牧草に合わせる
同じ農研機構の資料では、「NZの家畜飼養は放牧を基本としているため、草地の草量の季節変動に併せて子畜生産が行われる」と説明されています。牛も羊も、牧草がよく育ち栄養価の高い春に哺育期を迎えられるよう、春先に出産させるとされ、乳牛は7月の出産とされています。
放牧が基本ということは、家畜が牧草を食べて育つ時間が長い飼い方だということです。「グラスフェッド(牧草飼育)」という言葉をニュージーランド産の肉の説明で見かけるのは、こうした飼い方が背景にあるからでしょう。また、肉用牛の経営は肉羊との複合経営が一般的とされており、牛と羊の両方の肉が生産される構造になっています。
ただし、「グラスフェッド」は公正競争規約の目的分類にも、安全法の義務表示にも含まれない言葉です。どの程度の期間を牧草で育てたのか、どの原材料に当てはまるのかは、製品ごとに説明が異なります。パッケージにこの言葉があっても、表示ルールで定義された区分ではない点は押さえておきましょう。
知っておくと役立つのは、商品説明の言葉を読むときの「解像度」が上がることです。「放牧」「牧草」という言葉が出てきたら、それが原材料のどの肉について言っているのか、メーカーがどこまで具体的に公表しているのかを見るクセをつけると、雰囲気だけで選ぶことが減ります。
| 国土と牧草地 | 国土約2,700万haのうち約4割、1,063万haが牧草地および野草地(おもに牧畜業に利用) |
| 家畜の飼い方 | 放牧が基本。牛も羊も春先に出産させ、牧草が栄養豊富な春に哺育期を迎える(乳牛は7月) |
| ドッグフードを選ぶときの注意 | 産地の背景は品質の保証ではない。原産国名・原材料名・目的分類を製品ごとに確認する |
| 向いている読み方 | 「放牧」「牧草」などの説明が、どの原材料を指しているかを公式情報で確かめる |
出典:農研機構「ニュージーランドの農業」関連資料
実は「放牧だから安全」とは言い切れない理由
意外と知られていないけれど大事なのが、「放牧の国の肉を使っている」ことと「そのドッグフードが愛犬に合う」ことは別の問題だという点です。原材料の育ち方は品質を考える材料の1つにはなりますが、フードとしての安全性や栄養バランスを直接保証するものではありません。
理由は、ドッグフードの品質を左右する要素が原材料の産地以外にもたくさんあるからです。どの部位をどれだけ使っているか、ほかにどんな原材料を組み合わせているか、どこでどう加工したか、総合栄養食としての栄養バランスを満たしているか。これらは産地の名前からは読み取れません。安全法は国を問わず、国内で販売するペットフードに表示や添加物の基準を課しているので、「海外産だから危ない」「ニュージーランド産だから安全」という二択で考える必要もありません。
よくあるのが、「ニュージーランド産」という言葉に安心して、目的分類を見ないまま主食として与えてしまうケースです。肉の産地がどこであっても、間食やその他の目的食に分類される製品だけでは、必要な栄養がそろわないことがあります。
産地は「選ぶ理由の1つ」にとどめ、判断の軸は表示に置く。この順番を守るだけで、雰囲気に流されないフード選びができます。
袋の裏で見る義務表示5項目、どこに何が書いてある?

名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者名及び住所
国内で販売されるドッグフードには、ペットフード安全法によって5項目の表示が義務づけられています。安全法Q&Aでは「ペットフードの名称、賞味期限、原材料名、原産国名、事業者名及び住所の5項目の表示を義務付けています」と説明されています。ニュージーランドで作られたフードでも、日本で売る以上この5項目は必ず日本語で表示されます。
この表示の趣旨は、問題が起きたときに製品や原因を速やかに特定し、ペットの健康被害を未然に防ぐことにあります。つまり5項目は「何という製品で、いつまでに食べるもので、何が入っていて、どこで仕上げて、誰が責任を持つか」を追えるようにする情報です。
やりがちなのは、前面の商品名やキャッチコピーだけ見て、裏の一括表示欄をほとんど読まないことです。特に輸入品は前面が外国語のデザインのままで、日本語の表示は裏のシールにまとまっていることもあります。シールだから補足情報だろうと思って読み飛ばすと、原産国名や賞味期限を見落とします。
手に取ったら、まず裏の5項目を上から順に確かめましょう。名称でドッグフードであることと対象を、賞味期限で鮮度を、原材料名で中身を、原産国名で最終加工国を、事業者名及び住所で責任の所在を確認します。この5つを一巡するだけで、前面の印象とのズレに気づきやすくなります。
義務表示5項目は「名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者名及び住所」。ニュージーランドで仕上げた輸入品でも、日本で売るなら必ず表示されます。「ニュージーランド産○○使用」のような原材料の産地は、この5項目には含まれない任意の情報です。
原材料の産地は義務表示に含まれない
5項目を見てわかるとおり、原材料の産地は義務表示に入っていません。原材料名は書く義務がありますが、「その肉がどの国で育ったか」まで書く義務はないということです。
だからこそ、「ニュージーランド産ラム」「ニュージーランド産の牛肉を使用」といった表記は、メーカーが任意で伝えている情報になります。任意の情報だから信用できない、という意味ではありません。ただ、どの原材料について、どの範囲で言っているのかは製品によって違い、義務表示のように形式がそろっているわけでもありません。
たとえば、前面に「ニュージーランド産ラム」と書かれていても、原材料名を見ると複数の肉や魚が並んでいて、ラム以外の産地には触れていない、ということもありえます。前面の表記が「主原料すべて」の話なのか、「一部の原材料」の話なのかは、原材料名の並びと照らし合わせないとわかりません。
原材料の産地を重視したいなら、パッケージの記載に加えて、メーカー公式サイトで原材料ごとの産地を公表しているかを確かめましょう。公表範囲が広く、問い合わせにも答えてくれるメーカーは、選ぶうえでの判断材料になります。
状況:通販サイトの商品画像で「ニュージーランド産」の文字を見て、原材料も製造もすべてニュージーランドだと思い込んで購入。届いた袋の裏を見たら、原産国名は別の国だった。
原因:前面の「NZ産」が原材料の産地を指していたのに、原産国名(最終加工国)と同じ意味だと受け取った。
対策:購入前に商品ページの「原産国」欄か、袋の裏の一括表示の写真を確認する。前面の産地表記は「どの原材料の話か」を原材料名と突き合わせて読む。
「事業者名及び住所」で誰が責任を持つかがわかる
5項目の最後、事業者名及び住所は見落とされがちですが、輸入品では特に大事な項目です。ここには、そのフードについて責任を持つ事業者の名前と住所が書かれています。
安全法の表示が健康被害の防止と原因の特定を目的としている以上、「何かあったときに連絡できる相手」がわかることは欠かせません。海外で作られたフードでも、日本で販売する事業者がこの欄に表示されるので、問い合わせ先の手がかりになります。
飼い主さんがつまずきやすいのは、原産国名と事業者の住所を取り違えることです。事業者の住所が日本国内にあると、つい国産のフードだと思ってしまいがちですが、原産国名は別の欄に書かれています。事業者の所在地と、フードを仕上げた国は別の情報です。
確認のコツは、事業者名を見たらその事業者の公式サイトを開いてみることです。問い合わせ窓口が明記されているか、原材料や製造についてどこまで説明しているかを見ると、製品の情報公開の姿勢がつかめます。前面の宣伝文句より、こうした地味な情報のほうが選ぶ手がかりになることは多いものです。
表示のないフードは販売できない
安全法Q&Aでは「表示がないペットフードを販売することは禁止されています(第6条3項)」と明記されています。つまり、国内の店頭や通販で正規に売られているドッグフードには、5項目が表示されているのが前提です。
この決まりがあるのは、表示がなければ問題が起きたときに製品を追えず、健康被害の防止という法律の目的が果たせないからです。国内製でも輸入品でも同じルールが適用されます。
注意したいのは、個人輸入や海外サイトからの直接購入、知人からの譲り受けなど、正規の国内流通を経ていないルートです。こうしたルートでは日本語の5項目表示がないこともあり、原産国名や賞味期限を日本語で確かめられません。「現地で人気のニュージーランドのフードを直接取り寄せたい」という気持ちはわかりますが、表示を自分で読み解けるかどうかは事前に考えておきたいところです。
通販で買う場合は、商品ページに原産国や原材料、賞味期限の情報が載っているかを見ましょう。これらの情報が見当たらない商品ページは、購入前に販売者へ確認するのが安全です。
総合栄養食か、おやつか——目的分類を先に確認する
ドッグフードは使用目的で4つに分けられている
産地より先に確認してほしいのが「目的分類」です。ペットフード公正取引協議会の解説ページでは、ペットフードは使用目的によって消費者に必要な情報が異なるため、公正競争規約で使用目的ごとに分類していると説明されています。分類は総合栄養食・間食・療法食・その他の目的食の4つです。
分類が大事なのは、同じ「ニュージーランド産の肉を使ったフード」でも、主食として毎日与えるものなのか、おやつなのか、特定の目的で使うものなのかで、与え方がまったく変わるからです。産地が同じでも、目的分類が違えば役割も違います。
よくあるのが、肉の割合が高そうな製品を見て「栄養価が高いから主食にしよう」と考えてしまうケースです。見た目や原材料の印象と、目的分類は一致しないことがあります。主食にするつもりなら、まず「総合栄養食」と書かれているかを確認しましょう。
目的分類は、袋の裏の一括表示欄や、表示の近くに記載されています。療法食は獣医師の指導のもとで与えるものなので、飼い主の判断で選んで切り替えるものではありません。それ以外の3つのうち、どれにあたるかを最初に見分けることが、フード選びの出発点になります。
総合栄養食は「フードと水だけ」で健康維持を目指す区分
公正取引協議会の総合栄養食の解説ページでは、総合栄養食を「毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフード及び水のみで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれたもの」と定義しています。
ポイントは「当該ペットフード及び水のみで」という部分です。ほかに何も足さなくても、指定された成長段階の健康を維持できる栄養バランスがとれている、というのが総合栄養食の条件です。主食に求められるのはまさにこの性質なので、毎日のごはんとして与えるなら、この表示があるものを選ぶのが基本になります。
ニュージーランド産の肉を使った製品の中にも、総合栄養食として作られたものと、間食やその他の目的食として作られたものがあります。産地で選び始めると、この違いを見落としがちです。特に、肉そのものの風味を生かしたタイプの製品は、主食なのかトッピングやおやつ向けなのかを必ず表示で確かめましょう。
総合栄養食の表示は、次の見出しで触れるライフステージとセットで書かれます。「総合栄養食」の文字を見つけたら、その近くにどの成長段階向けかが書かれているかも一緒に見ておくと安心です。

ホームセンターやペットショップでドッグフードの袋を手に取ると、たいていどこかに「総合栄養食」と書かれています。その一方で、見た目はよく似ているのに「一般食」「お…
エアドライやフリーズドライも、分類は製品ごとに違う
ニュージーランド産の肉を使ったフードには、エアドライやフリーズドライなど、一般的なドライフードとは違う形態の製品も見かけます。ここで押さえておきたいのは、形態と目的分類は別の話だということです。
形態は「どうやって作ったか」、目的分類は「何のために与えるか」を示しています。エアドライだから総合栄養食、フリーズドライだからおやつ、という決まりはありません。同じ形態でも、栄養バランスを整えて総合栄養食として作られた製品もあれば、トッピングやおやつとして作られた製品もあります。
失敗しやすいのは、形態の珍しさや肉の割合の高さに目を奪われて、目的分類を確認しないまま主食に置き換えてしまうことです。間食やその他の目的食を主食の代わりにすると、フードと水だけでは必要な栄養がそろわない可能性があります。
また、原産国の考え方でも触れたように、素材乾燥タイプでは「実質的な変更をもたらす最後の工程」を行った国が原産国になり、輸送や保存のための乾燥・冷凍はその工程にあたりません。形態の説明と原産国名、目的分類の3つを並べて読むと、その製品の立ち位置がはっきりします。
ライフステージ表示で年齢に合うかを見る
総合栄養食は、ライフステージ(成長段階)ごとに表示されます。先ほどの定義にあった「指定された成長段階における健康を維持できる」という部分が、この表示に対応しています。
成長段階によって必要な栄養のバランスは変わるので、総合栄養食であっても、どの段階向けに作られているかを見ないと愛犬に合っているかはわかりません。子犬向け、成犬向けなど、表示された成長段階が愛犬の年齢と合っているかを確かめるのが基本です。
やりがちなのは、「総合栄養食」の文字だけ見て安心し、成長段階の表示を読まないことです。たとえば成長期の子犬に成犬向けの総合栄養食を与えると、指定された成長段階と合わないことになります。ニュージーランド産かどうかに関係なく、ここは必ず確認したいポイントです。
シニア犬の場合、表示の成長段階と実際の体調の変化が気になることもあるでしょう。年齢に合わせた切り替えを考えるときは、表示の読み方を押さえたうえで、体調の変化については獣医師に相談しながら進めると安心です。
「無添加」「ヒューマングレード」はどう読む?宣伝の言葉と基準の距離

「無添加」は何が無添加かの併記が条件
ニュージーランド産を打ち出す製品では、「無添加」という言葉もよく見かけます。公正取引協議会の解説ページでは、「無添加」は「無添加である原材料名等が明確に併記され」、かつ基準を満たす場合に限り表示できるとしています。
つまり「無添加」とだけ書いて、すべての添加物を使っていないかのように見せることは認められていません。「○○無添加」のように、何を使っていないのかが一緒に書かれているはずです。この決まりがあるのは、「無添加」という言葉だけでは消費者が何も入っていないと誤解しやすいからです。
読み方のコツは、「無添加」の文字を見たら、すぐ近くに何が無添加なのかが書かれているかを探すことです。書かれている対象が、飼い主さんの気にしている添加物と一致しているかを確かめましょう。たとえば着色料が無添加でも、ほかの添加物は使われていることがあります。
原材料名の欄を見れば、実際に使われている添加物は最後のほうにまとまって記載されています。「無添加」の併記と原材料名を突き合わせると、宣伝の言葉と中身の関係が見えてきます。

「無添加のドッグフードなら安心」と思ってパッケージを手に取ったのに、裏返すと原材料欄にカタカナの添加物名が並んでいて首をかしげた。そんな経験はないでしょうか。表…
状況:「ニュージーランド産・無添加」と書かれた製品を、添加物がいっさい入っていないフードだと思って選んだ。あとで原材料名を読むと、ビタミン類やミネラル類、酸化防止剤の名前が並んでいた。
原因:「無添加」は、何が無添加かを併記したうえで表示する言葉。すべての添加物がゼロという意味ではない。
対策:「無添加」の近くに書かれた対象(○○無添加)を読み、原材料名の後半に並ぶ添加物と照らし合わせる。
酸化防止剤には国の上限値がある
添加物が気になる飼い主さんに知っておいてほしいのが、安全法の基準です。環境省の基準・規格のページでは、酸化防止剤のエトキシキン・BHA・BHTは合計150(μg/g)、犬用ではエトキシキンが75以下とされています。
このように上限値が決められているのは、使い方によっては健康に影響する可能性がある物質について、国内で販売するペットフードに一律の基準を設けるためです。基準は原産国を問わず適用されるので、ニュージーランドで仕上げたフードでも、日本で販売する以上この上限を守る必要があります。
ここでの落とし穴は、「海外産は添加物の基準がゆるいのでは」「ニュージーランド産なら添加物は心配ない」と、産地で添加物の安全性を判断してしまうことです。どちらも産地から決まる話ではなく、国内販売のフードに共通の基準があるというのが実際のところです。
とはいえ、飼い主さんが袋の表示から各添加物の量を読み取ることはできません。気になる場合は、原材料名にどの酸化防止剤が書かれているかを確認し、詳しい使用量や考え方はメーカーの問い合わせ窓口に尋ねるのが確実です。
亜硝酸ナトリウムなど、ほかの添加物の基準
環境省の基準では、発色剤として使われる亜硝酸ナトリウムについても100(μg/g)という上限が定められています。肉の色を保つ目的で使われることがある添加物なので、肉を主体にした製品を選ぶときに名前を知っておくと役立ちます。
安全法の基準は、添加物のほかにも、ペットの健康に影響するおそれのある物質について定められています。基準の全体像は環境省のページで一覧できるので、気になる成分があれば一次情報で確かめることができます。
やりがちなのは、原材料名で見慣れないカタカナの名前を見つけて、それだけで危ないものだと判断してしまうことです。添加物の多くは保存性や栄養の補完のために使われていて、国内で販売するフードには上限値が設けられています。名前の印象ではなく、基準があるかどうか、どういう目的で使われているかを確かめる姿勢が大切です。
原材料名にある添加物は、栄養を補うためのビタミン・ミネラル類と、品質を保つための酸化防止剤などに大きく分かれます。どちらのための成分なのかを意識して読むと、原材料名の後半が読みやすくなります。
エトキシキン・BHA・BHT=酸化防止剤。ペットフード安全法の基準で合計150(μg/g)、犬用はエトキシキン75以下。
亜硝酸ナトリウム=発色剤。上限は100(μg/g)。
いずれも原産国を問わず、国内で販売するペットフードに適用される基準です。
「ヒューマングレード」「グラスフェッド」は表示区分ではない
ニュージーランド産を打ち出す製品では、「ヒューマングレード」「グラスフェッド」といった言葉もよく使われます。ここで押さえておきたいのは、これらの言葉が公正競争規約の目的分類にも、安全法の義務表示5項目にも含まれていないという点です。
目的分類は総合栄養食・間食・療法食・その他の目的食の4つ、義務表示は名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者名及び住所の5つです。「ヒューマングレード」や「グラスフェッド」はこのどちらにも入っていないので、それぞれの製品で何を意味しているかはメーカーの説明次第になります。
そのため、「ヒューマングレードだから総合栄養食として十分」「グラスフェッドだから品質が保証されている」と読み替えるのは危険です。言葉が指しているのは原材料の扱い方や育て方の一部であって、フード全体の栄養バランスや目的分類とは別の話です。
こうした言葉を見かけたら、「どの原材料について」「どういう基準で」言っているのかを、メーカーの公式情報で確かめましょう。説明が具体的であれば判断の材料になりますし、曖昧なら表示の基本項目を優先して判断すれば十分です。

原材料名の並び順から「主役の肉」を見抜くコツ
原材料名は重量の割合が多い順に並んでいる
産地の表記を読み解くうえで強い味方になるのが、原材料名の並び順です。公正取引協議会の表示の見方の解説では、原材料は「重量の割合の多い順」に並んでいると説明されています。
この決まりのおかげで、先頭に来ている原材料が、そのフードで最も多く使われているものだとわかります。「ニュージーランド産ラム」と前面に大きく書かれていても、原材料名の先頭がラムでなければ、ラムが主役とは言えません。前面の言葉の印象を、並び順という客観的な情報で確かめられるわけです。
ただし、並び順が示すのは重量の割合の順番であって、それぞれが何割入っているかまではわかりません。先頭の原材料がほかより多いことはわかっても、それがフード全体のどれくらいを占めるかは、並び順だけでは判断できない点に注意しましょう。
確認の手順はシンプルです。前面でアピールされている肉の名前を覚えておき、裏の原材料名で何番目に出てくるかを見る。先頭か、その近くにあれば主役の原材料として使われていると判断できます。後ろのほうにあれば、風味づけや補助的な使い方である可能性を考えましょう。
商品名の肉と先頭の原材料が一致しているか
次に見たいのが、商品名に入っている肉の名前と、原材料名の先頭が一致しているかどうかです。ニュージーランド産を打ち出す製品では、ラムや牛、鹿肉など、特定の肉を商品名に掲げたものが目立ちます。
商品名に肉の名前があると、その肉がメインだと感じるのが自然です。けれど、商品名の付け方と原材料の割合は必ずしも同じではありません。商品名で使われている肉が、原材料名では2番目や3番目に出てくる製品もあります。並び順を見れば、この違いにすぐ気づけます。
失敗しやすいのは、特定の肉を避けたい、あるいは特定の肉を中心に与えたいという目的があるのに、商品名だけで判断してしまうケースです。たとえば牛肉を避けたいと考えているのに、ラムの商品名につられて、原材料名に牛肉が含まれているのを見落とすことがあります。
特定の原材料を避けたい、または中心にしたい事情があるなら、商品名ではなく原材料名の欄を最初から最後まで読むことを習慣にしましょう。気になる原材料が1つでも含まれていないかを確認するのは、並び順を見るのと同じくらい大事です。
複数の肉や魚が混ざるときの読み方
ニュージーランド産の肉を使った製品でも、原材料名を見ると複数の肉や魚が組み合わされていることがあります。この場合も、並び順を読めばどの原材料が中心かがわかります。
複数の動物性原材料を組み合わせる理由は、栄養バランスを整えたり、風味を調整したりするためなど、製品によってさまざまです。組み合わせていること自体は珍しくありませんが、前面で1つの肉だけを強調している場合、実際の中身との印象の差が生まれやすくなります。
読み方の失敗として多いのが、先頭の原材料だけ見て、2番目以降の肉や魚を気にしないことです。特定の原材料で体調を崩した経験がある犬の場合、先頭だけでなく全体を確認しないと、避けたかった原材料を与えてしまうことがあります。
複数の肉や魚が並んでいるときは、前面で強調されている肉が何番目にあるか、ほかにどんな動物性原材料が含まれているかを確かめましょう。前面の「ニュージーランド産○○」が、どの原材料を指しているのかも一緒に考えると、製品の全体像がつかみやすくなります。
①前面で強調されている肉の名前を覚える ②裏の原材料名で、その肉が何番目にあるかを見る(重量の割合が多い順) ③2番目以降に、避けたい原材料やほかの肉・魚が含まれていないかを最後まで読む。この3つで、前面の印象と中身のズレに気づけます。
愛犬のタイプ別、ニュージーランドドッグフードとの付き合い方
初めてフードを選ぶ飼い主さんは「表示の一巡」から
犬を迎えたばかりで、どのフードを選べばいいかわからない飼い主さんには、産地より先に「表示を一巡する習慣」をつけることをおすすめします。ニュージーランド産かどうかは、その後で考えても遅くありません。
理由は、表示の読み方が身についていないうちに産地で選ぶと、目的分類や成長段階の確認が後回しになりやすいからです。主食に必要なのは、総合栄養食であることと、愛犬の成長段階に合っていることの2点です。この2点を満たしたうえで、原材料の産地やこだわりを比べるのが順番として自然です。
ありがちなのは、評判や見た目の印象で選び、あとから「おやつ向けの製品だった」「成長段階が合っていなかった」と気づくケースです。特に初めての方は、パッケージのデザインや宣伝の言葉に判断を引っ張られがちです。
手順としては、①目的分類が総合栄養食か、②成長段階が愛犬に合っているか、③原材料名の先頭は何か、④原産国名はどこか、の順に確認しましょう。この4つをクリアした製品の中から、ニュージーランド産の原材料を使っているものを選ぶ、という考え方なら迷いにくくなります。
子犬やシニア犬の飼い主さんは成長段階の表示を優先
子犬やシニア犬と暮らしている飼い主さんは、産地よりも成長段階の表示を優先して見ましょう。総合栄養食は成長段階ごとに表示されるので、年齢に合った表示があるかどうかが選ぶうえでの最優先事項です。
成長期の子犬は、体をつくるために成犬とは違う栄養のバランスが必要になります。シニア期は体の変化が個体ごとに大きく、同じ年齢でも状態がさまざまです。どちらの時期も、「ニュージーランド産の肉だから」という理由だけで選ぶと、成長段階との相性を見落とすおそれがあります。
子犬の場合によくあるのが、成犬向けの製品を「原材料がよさそうだから」と選んでしまうことです。シニア犬の場合は、年齢だけで切り替えを急ぎ、体調に合っているかを見ないまま変えてしまうことがあります。
子犬なら成長期向けの表示、成犬なら成犬向けの表示があるかを確かめましょう。シニア犬で切り替えを考えるときは、表示を確認したうえで、体調の変化を見ながら進めることが大切です。

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特定の原材料で体調を崩しやすい犬は、原材料名を全部読む
特定の食べものでお腹の調子が変わりやすい犬や、食事と体調の関係が気になる犬と暮らしている場合は、原材料名を最初から最後まで読むことを徹底しましょう。産地がどこであっても、含まれている原材料そのものを確認することが基本です。
ニュージーランド産の製品では、ラムや鹿肉など、ほかのフードではあまり使われない肉が主原料になっていることがあります。普段と違う原材料に切り替えたい、という理由で選ぶ飼い主さんもいるでしょう。ただ、主原料が違っても、2番目以降にいつもと同じ原材料が含まれていることはありえます。
よくある失敗は、主原料の名前だけで「これなら大丈夫」と判断してしまうことです。気になる原材料がある場合、先頭だけでなく全体を読まないと、避けたかったものが含まれていることに気づけません。
食事と体調の関係を自己判断で決めつけるのは避けたいところです。フードを変えたあとに食欲や便の様子がいつもと違うときは、獣医師に相談してください。療法食が必要かどうかも含めて、獣医師の判断のもとで進めるのが安全です。
切り替えは少しずつ混ぜて進める
ニュージーランド産のフードに切り替えると決めたら、いきなり全部を新しいフードにするのではなく、今のフードに少しずつ混ぜて進めるのが基本です。
急に切り替えるのを避けたい理由は、犬の消化の仕組みが、慣れた食事に合わせて働いているからです。原材料や形態が大きく変わると、消化が追いつかずお腹の調子を崩すことがあります。特に、これまでと違う種類の肉が主原料になる場合や、形態が変わる場合は、慎重に進めたほうが安心です。
やりがちなのは、新しいフードへの期待が大きくて、数日で完全に置き換えてしまうことです。食いつきがよいと、つい新しいフードの割合を早く増やしたくなりますが、食べる勢いと消化の相性は別の話です。
切り替えの日数や混ぜ方の目安は、製品のパッケージや公式サイトに案内があればそれに従いましょう。案内がない場合は、便の状態や食欲を毎日確認しながら、割合を少しずつ増やしていく方法が無理のない進め方です。
まとめ
ニュージーランドは国土の約4割が牧草地・野草地で、放牧を基本とした畜産の国です。その背景があるからこそ、ラムや牛などの肉を打ち出したドッグフードが多く並びます。ただ、産地の背景はフードの品質や愛犬との相性を保証するものではありません。「ニュージーランド産」という言葉は、選ぶ理由の1つとして受け止めるのがちょうどよい距離感です。
実際に選ぶときの軸は、袋の裏の表示です。義務表示5項目で名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者名及び住所を確かめ、目的分類が総合栄養食か、成長段階が愛犬に合っているかを見ます。そのうえで原材料名の並び順から主役の肉を読み取り、「無添加」などの言葉は何が無添加なのかの併記と照らし合わせましょう。添加物にはエトキシキン・BHA・BHTの合計150(μg/g)といった国の上限があり、原産国を問わず国内で販売するフードに適用されます。
最初の一歩として、今お使いのフード、または気になっているニュージーランド産のフードの袋を裏返し、「原産国名」と「原材料名の先頭」の2か所を読んでみてください。前面の印象と裏の表示がどう対応しているかがわかると、次にフードを選ぶときの見え方が変わります。
※最新情報は各メーカーの公式サイトや、農林水産省・環境省・ペットフード公正取引協議会の公式ページでご確認ください。

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