おやつ売り場で「馬肉ジャーキー」を見かけて、牛や鶏のジャーキーと何が違うのか、うちの子にあげても平気なのか迷ったことはありませんか。パッケージには「低脂肪」「高たんぱく」「アレルギーに配慮」といった言葉が並んでいます。でも、その根拠がどこにあるのかまでは書かれていないことがほとんどです。
先に結論をお伝えします。馬肉は文部科学省の日本食品標準成分表で、生の赤肉100gあたり脂質2.5 g・鉄4.3 mg・ビタミンB12 7.1 μgという数値の食材です。牛もも赤肉より脂質が少なく、牛肉や鶏むね肉より鉄とビタミンB12が多いのが特徴です。ただ、ジャーキーはあくまで「おやつ(間食)」です。環境省のガイドラインが示す「1日に必要なエネルギー量の20%以内」の枠の中で、与えた分だけ主食を減らしながら使うのが基本になります。
この記事では、成分表の数値を使った牛肉・鶏肉との比較、「アレルギーが出にくい」と言われる理由の正体、子犬・シニア犬・体の小さい犬への与え方、パッケージ表示の読み方、開封後の保存と手作りするときの考え方まで、順番に理屈からほどいていきます。
・馬肉の成分を牛もも赤肉・鶏むね肉と並べたときの違い(犬ごはんノート調べ)
・「アレルギーが出にくい」と言われる理屈と、その限界
・1日20%以内の目安を主食と一緒に考える与え方と、子犬・シニア犬での注意
・パッケージの義務表示・「無添加」表示の読み方と、開封後の保存方法
馬肉ジャーキーって何がいいの?生の赤肉100gの成分から見える3つの特徴

脂質2.5 gの赤身だから「低脂肪」と呼ばれる
馬肉が「低脂肪」と紹介される根拠は、文部科学省の食品成分データベースにある数値です。「うま/肉/赤肉/生(食品番号11109)」は100gあたりエネルギー102 kcal、たんぱく質20.1 g、脂質2.5 g、炭水化物0.3 gと記載されています。
脂質は、たんぱく質や炭水化物に比べて重さあたりのエネルギーが大きい栄養素です。そのため脂質が少ない肉ほど、同じ重さでもエネルギーが控えめになります。馬の赤肉は、その脂質がもともと少ない部類の食材だということです。
ここでやりがちなのが、「低脂肪なら多めにあげても太らない」と考えてしまうことです。低脂肪は「同じ量ならエネルギーが控えめ」という意味にすぎません。量を増やせば、そのぶん1日のエネルギーは積み上がります。また、成分表の数値は生の赤肉のもので、ジャーキー製品そのものの値ではありません。
実際に与える製品の脂質を知りたいときは、パッケージの成分表示を見てください。「粗脂肪」などの項目で、その製品の値が示されています。「馬肉だから低脂肪」と原材料名だけで判断せず、製品ごとの数字で確かめる習慣をつけておくと、ほかのおやつと比べるときにも迷いません。
乾燥させると100gあたりの数値はどう変わる?
ジャーキーにすると、同じ重さあたりのエネルギーや栄養素は生肉より高くなります。水分が抜けても、たんぱく質や脂質はそのまま残るからです。
成分表によると、生の馬の赤肉は100gのうち76.1 gが水分です。ジャーキーは、この水分を乾燥によって飛ばしたものです。肉そのものの重さは減りますが、中に含まれていた栄養素の量は大きくは変わりません。結果として、1gあたりに詰まっているエネルギーやたんぱく質の「密度」が上がります。
よくある勘違いは、成分表の「102 kcal」を見て「ジャーキー100gも102 kcalくらい」と考えてしまうことです。見た目が小さく軽いジャーキーは、ひとかけでも生肉より多くのエネルギーを持っています。「小さいから少しだけ」のつもりで何本も与えると、思ったより多くのエネルギーを足していることになります。
コツは、生肉の数値は「食材の性格」を知るために使い、実際の量は製品のエネルギー表示で判断することです。多くの製品は100gあたり、または1本あたりのエネルギーを表示しています。1本あたりの表示がない場合も、給与限度量の欄があれば、そこを量の上限として読むのが確実です。
鉄4.3 mgとビタミンB12 7.1 μgが目を引く理由
馬肉の成分で特に目立つのが、鉄とビタミンB12です。生の赤肉100gあたり鉄4.3 mg、ビタミンB12 7.1 μg、亜鉛2.8 mg、ナイアシン5.8 mgと記載されています。このあと比べる牛もも赤肉や鶏むね肉と並べても、鉄とビタミンB12は馬肉がいちばん多い値です。
ただ、これを「鉄分補給のために馬肉ジャーキーを」と結びつけるのは飛躍です。主食に総合栄養食を選んでいれば、必要な栄養はそのフードと水でまかなえるように設計されています。おやつの栄養は、あくまで上乗せの「おまけ」です。
ありがちなのは、栄養が豊富だからとおやつの量を増やし、そのぶん主食を食べなくなるパターンです。おやつで特定の栄養素が増えても、主食が減れば全体のバランスはかえって崩れます。体調に関わる目的でおやつを選ぶのは、編集部としてもおすすめしません。
見方としては、「同じおやつを選ぶなら、脂質が少なくミネラルやビタミンも含む赤身肉」という程度に受け止めるのがちょうどいいでしょう。栄養価は、おやつを選ぶときの判断材料のひとつです。与える量を増やす理由にはしないでください。
| 分類・主な原材料 | 肉類/畜肉類/うま/肉/赤肉/生(食品番号11109)。ジャーキーはこれを乾燥させた間食 |
| 栄養成分の目安 | エネルギー102 kcal、たんぱく質20.1 g、脂質2.5 g、鉄4.3 mg、ビタミンB12 7.1 μg、食塩相当量0.1 g(生の赤肉100gあたり・日本食品標準成分表) |
| 与えるときの注意 | 乾燥で重さあたりの密度が上がる。おやつは1日に必要なエネルギー量の20%以内で、与えた分だけ主食を減らす |
| 向いている犬・場面 | 脂質を控えめにしたい間食を探している場面、ごほうびを小さく分けて使いたい場面 |
牛肉・鶏むね肉と並べると何が違う?成分表で比べた3種の赤身
「低脂肪」「高たんぱく」は、何かと比べて初めて意味を持つ言葉です。そこで、ジャーキーの原料としてよく使われる牛肉と鶏肉を、同じ文部科学省の成分表から選んで並べました。比べやすいように、どれも脂の少ない部位・生の値でそろえています。
| 項目 | 馬肉 赤肉 | 和牛もも 赤肉 | 若どりむね 皮なし |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 102 kcal | 176 kcal | 105 kcal |
| たんぱく質 | 20.1 g | 21.3 g | 23.3 g |
| 脂質 | 2.5 g | 10.7 g | 1.9 g |
| 鉄 | 4.3 mg | 2.8 mg | 0.3 mg |
| ビタミンB12 | 7.1 μg | 1.3 μg | 0.2 μg |
| 食品番号 | 11109 | 11021 | 11220 |
出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 食品成分データベース(馬肉/和牛もも/若どりむね)
脂質は牛もも赤肉10.7 gに対して馬肉2.5 g
いちばん差が大きいのは脂質です。同じ「赤肉」でも、和牛もも赤肉は100gあたり10.7 g、馬肉は2.5 gです。エネルギーも牛の176 kcalに対して馬は102 kcalと、脂質の差がそのまま表れています。
この差は、筋肉の中に脂肪がどれだけ入り込んでいるかの違いから生まれます。牛肉はたとえ赤身の部位でも、筋肉の中に脂肪が混ざりやすい肉です。馬の赤肉は脂肪の入り込みが少なく、赤身らしい赤身だといえます。ジャーキーのように脂を足さずに乾燥させるおやつでは、原料の性格がほぼそのまま製品に残ります。
よくある誤解は、「牛肉ジャーキーは太る、馬肉ジャーキーは太らない」という二択の見方です。牛肉ジャーキーでも量を守れば問題になりにくいですし、馬肉ジャーキーでも与えすぎればエネルギーは超えます。差は「同じ量を与えたときの上乗せ分」に出るものです。
コツとしては、ごほうびの回数が多い子ほど、1回あたりのエネルギーが小さいおやつを選ぶと枠に収めやすくなります。脂質の少ない原料は、その条件に合いやすい選択肢のひとつです。
たんぱく質だけなら鶏むね肉23.3 gが上回る
意外と知られていないのですが、「高たんぱく」でいちばん数値が高いのは馬肉ではありません。表のとおり、100gあたりのたんぱく質は鶏むね肉(皮なし)が23.3 g、和牛もも赤肉が21.3 g、馬肉が20.1 gです。脂質も鶏むね肉の1.9 gが最も少なく、「低脂肪・高たんぱく」だけで選ぶなら鶏むね肉のほうが条件を満たしています。
それでも馬肉が選ばれる理由は、鉄やビタミンB12の多さに加えて、「牛や鶏とは別のたんぱく源」だという点にあります。これはこのあとアレルギーの章で説明する考え方につながります。
やりがちなのは、「馬肉=一番ヘルシー」というイメージだけで選び、ささみ系のおやつとの差を過大に見積もることです。脂質や高たんぱくの話だけで比べるなら、鶏むね肉と大きな差はありません。
選ぶときは、「何を優先したいか」を先に決めておくと迷いません。脂質の少なさを最優先するなら鶏むね肉系、牛や鶏以外のたんぱく源を試したいなら馬肉系、という使い分けができます。
鉄とビタミンB12は3種の中で馬肉がいちばん多い
鉄は馬肉4.3 mg、牛もも赤肉2.8 mg、鶏むね肉0.3 mgです。ビタミンB12は馬肉7.1 μg、牛もも赤肉1.3 μg、鶏むね肉0.2 μgです。どちらも、3種の中で馬肉がいちばん多い値になっています。
赤身の色が濃い肉ほど鉄を多く含む傾向があり、白っぽい鶏むね肉はこの2項目が控えめです。馬肉の赤身が深い色をしているのは、見た目の印象だけでなく、成分の違いが表れたものだと考えられます。
ただし前の章で触れたとおり、ここを「栄養補給」と捉えるのは避けてください。おやつは1日のエネルギーの一部にとどめるものです。そこから得られる鉄やビタミンB12は、主食に比べれば小さな上乗せにすぎません。
同じ枠の中で与えるなら、栄養の幅が広いほうがよい、という程度の意味合いで比べるのが健全です。表の数値はおやつ同士の比較には役立ちますが、主食の代わりの根拠にはなりません。
比較表を読むときに見落としやすい2つの前提
この表は、生の肉・特定の部位で比べたものです。この前提を外すと、読み方を誤ります。
ひとつ目は、部位による違いです。牛肉は部位によって脂質が大きく変わります。表の和牛もも赤肉は脂の少ない部位の値なので、ほかの部位を使った牛肉ジャーキーなら、差はもっと開くこともあります。鶏肉も、むね肉とささみ、皮つきかどうかで数値は変わります。
ふたつ目は、加工による違いです。どの肉も乾燥で水分が抜けるので、ジャーキーになった時点で100gあたりの数値はすべて大きくなります。表の数字をそのまま「ジャーキー100gの値」と読むのは誤りです。
製品同士を比べるときは、それぞれのパッケージの成分表示を並べてください。ここで挙げた成分表の値は、原料の「性格」を知るための物差しとして使うのがおすすめです。
「アレルギーが出にくい」と言われるのはなぜ?馬肉も例外ではない理由

獣医師団体の解説では、馬肉もアレルゲンの例に挙がっている
最初に押さえておきたいのは、馬肉も食物アレルギーの原因になりうるということです。獣医師の団体が飼い主向けに公開している皮膚病の解説ページでは、食物アレルギーの原因として考えられる蛋白の例に、牛肉、鶏肉、豚肉、魚、卵、大豆と並んで馬肉が挙げられています。
食物アレルギーは、体が特定のたんぱく質を異物と判断して反応するしくみです。どの肉であっても、たんぱく質である以上、反応が起こる可能性はゼロにはなりません。同じ解説では、炭水化物や添加物も原因として考えられると説明されています。
やりがちなのは、「アレルギー対応」「低アレルゲン」といった売り場の言葉を、「この子は絶対に反応しない」と読み替えてしまうことです。こうした表現は、あくまで反応が起こりにくい傾向を指したものです。個々の犬に合うかどうかを保証する言葉ではありません。
パッケージの宣伝文句より、原材料欄を見てください。馬肉以外に何が使われているかを確認しておくと、万一のときに原因を絞り込みやすくなります。
「出にくい」の理屈は“食べた経験の少なさ”にある
それでも馬肉が「アレルギーが出にくい」と言われるのは、多くの犬にとって食べたことのない肉だからです。食物アレルギーは、そのたんぱく質を体が覚えること(感作)から始まると考えられています。これまで口にしたことのない肉なら、反応する下地ができていない可能性が高い、という理屈です。
牛肉や鶏肉は、ドッグフードやおやつに広く使われています。そのため、多くの犬がすでに何度も口にしています。一方、馬肉は使われる機会が比較的少なく、「初めて食べるたんぱく源」になりやすい食材です。
ここから分かるのは、馬肉そのものが特別にアレルギーを起こしにくい性質を持っている、というわけではない点です。馬肉ベースのおやつやフードを長く食べ続けてきた子にとっては、馬肉も「食べ慣れた肉」になります。
「馬肉は低アレルゲン」と覚えるのではなく、「その子がまだ食べたことのないたんぱく源かどうか」で考えてください。そのほうが実態に合っています。
新奇タンパク(新奇たんぱく質)=その犬が一度も食べたことのないたんぱく源のこと。食物アレルギーを確かめる一般的な方法として、一度も食べたことがない蛋白と炭水化物で除去食を行い、症状が消えるかを見る試験が知られています。これは獣医師のもとで行うもので、おやつ選びの目安ではありません。
新しいおやつを一度に何種類も試してしまう
馬肉ジャーキーを試すときに一番避けたいのは、ほかの新しいおやつやフードと同じ時期に始めることです。何かあったときに、どれが原因なのか分からなくなってしまいます。
体調の変化は、食べてすぐ出るとは限りません。複数の新しい食べ物を同時に始めると、かゆみや便の変化が出ても原因を切り分けられません。結局すべてをやめることになり、せっかく合っていたものまで候補から外れてしまいます。
原因:「アレルギー対応」のおやつなら何種類試しても平気だと考え、フードの切り替えや別のおやつと同じ週に始めてしまう。
対策:新しく試す食べ物は1種類ずつにする。馬肉ジャーキーは少量から始め、その間はほかの新しいおやつを足さない。原材料欄は写真に残しておき、体調の変化と照らし合わせられるようにする。
コツは、試す期間は「いつものごはん+馬肉ジャーキーだけ」という状態をつくることです。家族が別々におやつをあげている家庭では、試している間はほかのおやつを控えるよう共有しておきましょう。
体をかゆがる・下痢が続くときの考え方
おやつを変えたあとに体をかゆがる、便がゆるい日が続く、といった変化が見られたら、まずはその新しいおやつをやめて様子を見るのが基本です。そのうえで、判断を自己流で進めないことが大切です。
かゆみや下痢の原因は、食物アレルギーだけではありません。皮膚の病気、寄生虫、食べすぎ、急な食事の変化など、さまざまな可能性があります。「アレルギーだから馬肉に替えよう」と飼い主さんが決めてしまうと、本当の原因を見逃すおそれがあります。
よくあるのが、ネットの情報を頼りに、おやつやフードの肉の種類を次々と替えていくパターンです。先ほどの除去食の考え方は、期間や食材の選び方を管理したうえで行うものです。おやつを替えながら試すのとは別物です。
食欲や便の様子がいつもと違う、かゆがる状態が続くといったときは、自己判断で食材を替え続けず、獣医師に相談してください。受診のときは、与えていたおやつのパッケージや原材料欄の写真を持っていくと、話がスムーズに進みます。
1日どれくらいならいい?「20%以内」を主食と一緒に考える
20%はおやつの上限の目安で、ノルマではない
おやつの量について、公的な目安ははっきり示されています。環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、おやつは一日に必要なエネルギー量の20%以内を目安にするとしています。馬肉ジャーキーも、この枠の中で考えます。
20%という数字が上限になっているのは、おやつだけでは栄養が偏りやすいからです。多くのおやつは、1日に必要な栄養をまんべんなく満たすようにはつくられていません。おやつの割合が増えるほど、主食で整えた栄養バランスが崩れやすくなります。
誤解しやすいのは、「20%まではあげていい」を「20%はあげたほうがいい」と受け取ってしまうことです。これはあくまで上限の目安です。毎日その枠を使い切る必要はありません。
ごほうびの回数が多い子は、ジャーキーを小さくちぎって回数に振り分けると、枠を守りやすくなります。1回に与える量を小さくしても、犬にとって「もらえた」という満足感は大きく変わりません。
与えた分だけ主食を減らすのはなぜ?
同じガイドラインでは、おやつを与えた分だけ主要な食事の量も減らすよう呼びかけています。理由はシンプルで、主食の給与量は「それだけで1日に必要なエネルギーをまかなう」前提で決められているからです。
主食をいつもどおり与えたうえでおやつを足すと、その日はおやつの分だけエネルギーが超過します。1日単位ではわずかでも、毎日続けば体重の増加につながります。
よくある失敗が、家族それぞれが「1本だけなら」とジャーキーを与えるケースです。一人ひとりは少量のつもりでも、合計すると枠を大きく超えていることがあります。主食の量は誰も変えていない、という状態がいちばん起こりやすいパターンです。
対策として、1日分のおやつを朝のうちに取り分け、その中から与えるルールにすると管理しやすくなります。取り分けた量に応じて主食を少し減らしておけば、家族の誰があげても合計が変わりません。
パッケージの「給与限度量」を先に探す
市販のジャーキーの量を決めるとき、いちばん頼りになるのはパッケージの表示です。ペットフード公正取引協議会は、間食の表示項目として「給与限度量」を挙げています。総合栄養食の基準を満たす間食なら「給与量の目安」でもよく、必要に応じて給与回数や与え方も表示されます。
つまり、おやつのパッケージには「この量までにとどめてください」という上限が書かれているのが基本です。体重別の表になっていることが多いので、愛犬の体重に当てはまる欄を見ます。
やりがちなのは、主食の給与量表だけを見て、おやつの表示は読まずに感覚で与えることです。ジャーキーは乾燥して軽いので、見た目の量と実際のエネルギーが結びつきにくいおやつです。
給与限度量がパッケージのどこにあるか分からないときは、裏面の成分表示の近くを探してみてください。まれに総合栄養食の基準を満たしたおやつもあり、その場合は表示区分が「総合栄養食」になっています。区分の欄も一緒に見ておくと、そのおやつの位置づけが分かります。
ダイエット中の犬に馬肉ジャーキーを使うなら
体重を落としたい時期でも、おやつをゼロにしなければならないわけではありません。脂質の少ない馬肉ジャーキーは、同じ量ならエネルギーが控えめなので、ごほうびを残したいときの候補になります。
ただし、ダイエット中は1日のエネルギーの枠そのものが小さくなっています。おやつに使える量も、その分だけ小さくなります。いつもの感覚で与えると、主食を減らしても体重が変わらない、という状態になりがちです。
よくある失敗は、「低脂肪のおやつに替えたから大丈夫」と量を見直さないことです。原料を替えても、量が同じなら減るエネルギーはわずかです。ダイエットで効くのは、原料より量と回数の管理です。
環境省のガイドラインでは、本格的なダイエットが必要な場合は、必ず獣医師の指導のもとで行うよう呼びかけています。目標体重や1日の食事量の考え方は、ダイエット用フードの記事で詳しく解説しています。

子犬・シニア犬・小型犬ではどう変える?場面別の与え方
子犬には「対象年齢」の表示を最優先で確認する
子犬に馬肉ジャーキーをあげるときは、まずパッケージの対象年齢の表示を確認してください。子犬への与え方は製品によって設計が異なり、「成犬用」と書かれたおやつもあるからです。
子犬は成長のために多くの栄養を必要とする時期で、その中心を担うのは主食の子犬用フードです。おやつが増えて主食を食べる量が減ると、成長期に必要な栄養が不足しやすくなります。20%の枠は子犬でも同じですが、主食をしっかり食べることを優先する時期だと考えてください。
よくある失敗は、硬いジャーキーを大きいまま渡してしまうことです。子犬は噛む力も飲み込む力も発達途中で、まだ噛み慣れていません。大きなかけらをそのまま飲み込もうとして、のどに詰まらせかけることがあります。
最初は小さくちぎって、与えている間は目を離さないようにしましょう。何か月から与えてよいかの一律の基準は、この記事で参照した公的資料には見当たりません。パッケージの対象年齢の表示に従うのが確実です。
シニア犬は硬さと大きさを見直す
年齢を重ねた犬には、ジャーキーの硬さとサイズを見直すことが大切です。若い頃と同じように食べられるとは限りません。
歯が弱くなったり、噛む力や飲み込む力が落ちたりすると、硬いジャーキーを噛み切れずに丸のみしようとすることがあります。乾燥したジャーキーは口の中で水分を吸って膨らみにくく、硬いまま残りやすいおやつです。
よくあるのは、昔から好きだったからと同じ製品を同じ大きさで与え続けるケースです。食べるのに時間がかかる、口から落とす、途中でやめる、といった様子が増えたら、見直しのサインです。
見直すときは、細かくちぎる、しっとりしたセミモイストタイプを選ぶ、といった方法があります。シニア期の主食の選び方や切り替えの考え方は、シニアフードの記事でまとめています。

体の小さい犬ほど「ひとかけ」の重みが大きい
体の小さい犬は、1日に必要なエネルギー量そのものが小さいので、おやつに使える枠も小さくなります。人の感覚で「1本くらい」と与えるジャーキーが、枠の大半を占めてしまうことも珍しくありません。
ジャーキーは乾燥で密度が高くなっているうえ、製品のサイズは体の大きな犬にも合わせて作られていることがあります。パッケージの給与限度量が体重別になっているのは、この差を反映したものです。
やりがちな失敗は、多頭飼いで体格の違う犬に同じ本数を配ることです。大きな犬にはちょうどよい量でも、小さな犬には多すぎることがあります。
体格が違う犬がいる家庭では、犬ごとに給与限度量の欄を読み分け、小さい子には細かく割ってから与えましょう。回数を保ちながら量を減らせます。
しつけのごほうびに使うときの工夫
馬肉ジャーキーは香りが強く、ごほうびとして犬の反応を得やすいおやつです。そのぶん、練習の日は与える回数が増えやすい点に注意が必要です。
練習で何度も褒める日は、1回ずつの量が小さくても、合計はふだんより多くなります。練習の日だけ急におやつが増えると、枠を超えやすくなります。
よくあるのは、ごほうびを成功のたびに1本ずつ渡してしまうことです。ごほうびは、犬が「もらえた」と感じられれば役目を果たします。量の大きさで効き目が変わるわけではありません。
練習の日は、1日分のジャーキーを最初に小さくちぎって用意しておき、その範囲で使い切るようにしましょう。足りなくなりそうなら、主食のフードの一部をごほうびに回す方法もあります。
パッケージのどこを見る?馬肉ジャーキーの表示を読むコツ
義務表示の5項目は、どの製品にも必ず載っている
犬用のおやつもペットフード安全法の対象で、パッケージには決まった5項目の表示が義務づけられています。名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者名及び住所です(ペットフード公正取引協議会の解説)。
名称は犬用か猫用かが分かるように書かれます。賞味期限は「賞味期限」の文字に続けて、年月日または年月で表示されます。原材料名は「原材料名」または「原材料」の文字に続けて、原則として使用した原材料をすべて記載することになっています。
やりがちなのは、表の目立つ宣伝文句だけを見て、裏面の義務表示を読まないことです。「馬肉100%」のようなうたい文句があっても、実際に何が入っているかを確かめられるのは原材料名の欄です。
選ぶときは、この5項目がそろっているかをまず確認してください。旅行先のお土産や手作り品の即売など、表示が不十分なものは、中身を確かめる手段がないので避けたほうが安心です。
実は「国産」は、肉の産地を示す表示ではない
意外と知られていないのですが、パッケージの原産国名は、原料の肉がどこで育ったかを示すものではありません。ペットフード安全法の原産国名は、「最終加工工程を完了した国」を記載するルールになっています。
つまり、原産国名が「日本」でも、原料の馬肉が海外産ということはありえます。最後の加工を日本で終えていれば、表示上の原産国は日本になるからです。これは表示のルールに沿ったもので、ごまかしではありません。
よくある誤解は、「原産国:日本」を見て、原料もすべて国内産だと思い込むことです。原料の産地にこだわりたい場合、この欄だけでは判断できません。
原料の産地を知りたいときは、パッケージに原料原産地の任意表示があるかを確認しましょう。書かれていなければ、事業者名の欄にある問い合わせ先に確認するのが確実です。表示の役割を正しく知っておくと、宣伝文句に振り回されにくくなります。
義務表示は「名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者名及び住所」の5項目。原産国名は最終加工工程を完了した国で、原料の産地ではありません。原材料は使用量の多い順に並び、添加物は原則として最後に書かれます(こちらは公正競争規約のルール)。「無添加」は、何が無添加かが併記されている場合に限って表示できます。
原材料の並び順から中身を読む
原材料名の欄は、使用量の多い順に並んでいます。添加物は原則として最後に書かれます。この並び方は、ペットフード業界の公正競争規約によるルールで、ペットフード安全法そのものの規定ではありません。
この順番を知っていると、欄の先頭を見るだけで、そのジャーキーの主な原料が分かります。先頭が馬肉なら、馬肉が最も多く使われた製品です。
よくある見落としは、商品名に「馬肉」とあるのに、原材料欄の先頭が別の肉や穀類になっているケースです。風味づけ程度にしか馬肉を使っていない製品もありえるので、商品名だけで判断しないようにしましょう。アレルギーの観点で馬肉を選ぶなら、ほかの肉が含まれていないかも同じ欄で確認できます。
コツは、先頭と最後の両方を見ることです。先頭で主な原料を、最後で添加物の有無を確かめる。この2か所を見るだけで、中身のおおよそのイメージがつかめます。
「無添加」の表示条件と酸化防止剤の上限値
「無添加」は、書き方にルールのある表示です。ペットフード公正取引協議会の解説によると、無添加である原材料名などが明確に併記され、その原材料がすべての製造工程で使われていないことが確認できる場合に限って表示できます。「保存料無添加」のように、何が無添加なのかがセットで書かれているかを確認してください。
酸化防止剤については、国が上限値を決めています。環境省の成分規格のページによると、エトキシキン・BHA・BHTは合計で150 μg/g、犬用はそのうちエトキシキンが75 μg/g以下です。亜硝酸ナトリウムは100 μg/gと定められています。また農林水産省のQ&Aは、添加物の使用は必要な場合に限り、必要最小限の量にするよう示しています。
やりがちなのは、「無添加」の文字だけで安心して、何が無添加なのかを読まないことです。また、添加物が入っている製品を一律に危険だと考えるのも行きすぎです。上限値のルールの中で使われていることを知っておけば、落ち着いて比べられます。
無添加の表示と保存性はトレードオフになりやすいので、次の章の保存方法とあわせて考えましょう。表示の読み方は、無添加おやつの記事でさらに詳しく解説しています。

開封後どう保存する?ドライとしっとりで変わる期限と手作りの注意
硬いタイプとしっとりタイプで保存方法が変わる
馬肉ジャーキーの保存方法は、製品の水分量で決まります。カリッと乾いた硬いタイプはドライ(またはソフトドライ)、しっとり柔らかいタイプはセミモイストに分類されることが多く、それぞれ保存の目安が違います。
水分が多いほど、カビや微生物が増えやすくなります。脂質は空気に触れると酸化も進みます。水分の少ないドライタイプは常温で保存でき、水分の多いセミモイストは冷蔵が必要になる、というのはこのためです。
よくあるのは、「ジャーキーだから常温で大丈夫」と、しっとりタイプまで常温に置いてしまうことです。同じ馬肉ジャーキーでも、柔らかさが違えば保存方法も変わります。
まずはパッケージの保存方法の記載を確認してください。そのうえで、環境省のガイドラインが示す区分ごとの目安と照らし合わせると、判断しやすくなります。
| 項目 | ドライ・ソフトドライ | セミモイスト | ウェット |
|---|---|---|---|
| 使用期限の目安 | 開封後約1か月 | 開封後2週間程度 | 開封後1日 |
| 保存場所 | 袋をしっかり閉じ、直射日光が当たらず温度・湿度が低い場所で常温 | 袋をしっかり閉じて冷蔵庫 | 開封したらすぐに与える |
| 馬肉ジャーキーでの例 | カリッと硬く乾いたタイプ | しっとり柔らかいタイプ | ジャーキーでは一般的でない |
ドライタイプは開封後約1か月・常温が目安
硬く乾いたタイプの馬肉ジャーキーは、環境省のガイドラインのドライフード・ソフトドライフードの目安に沿って考えます。使用期限の目安は開封後約1か月です。袋をしっかり閉じ、直射日光が当たらず、温度・湿度が低い場所で保存します。
開封後は、湿気と空気に触れることで劣化が進みます。湿気を吸えばカビの原因になり、空気に触れれば脂質の酸化が進みます。脂質の少ない馬肉でも、酸化がまったく起きないわけではありません。
原因:すぐ取り出せるように、ふたのゆるい容器やお皿に移してリビングに置いたままにする。コンロや窓際など、温度や湿度が上がりやすい場所に置いてしまう。
対策:元の袋の口をしっかり閉じて保存し、使う分だけ出す。置き場所は直射日光が当たらず、温度・湿度が低いところに。開封日を袋に書き、約1か月を目安に使い切る。
大容量の袋を選ぶと、約1か月で使い切れないことがあります。体の小さい犬ほど1日の量が少ないので、使い切れるサイズの製品を選ぶのが保存のいちばんの対策です。袋の中身がにおいや色が変わっている、湿っている、といった場合は、期限内でも与えないでください。
ドライタイプの保存の考え方は、ドライフードの記事でも詳しく解説しています。

しっとりしたセミモイストは2週間程度・冷蔵で
柔らかくしっとりした馬肉ジャーキーは、セミモイストフードとして扱います。環境省のガイドラインでは、使用期限の目安は開封後2週間程度です。袋をしっかり閉じて、冷蔵庫で保存します。
セミモイストは水分が多いぶん、噛みやすく、シニア犬や小さな犬に与えやすいのが長所です。その一方で、開封後は傷みやすくなります。ドライタイプと比べて期限の目安が短いのは、この水分量の差によるものです。
よくある失敗は、「冷蔵庫に入れていれば長持ちする」と考えて、開封日を忘れてしまうことです。冷蔵でも劣化は止まりません。2週間程度という目安は、冷蔵したうえでの期間です。
冷蔵庫から出したジャーキーは、結露で表面が湿りやすくなります。使う分だけ手早く取り出して、袋はすぐに戻しましょう。開封日を袋に書いておく習慣は、ドライタイプ以上に役立ちます。
手作りの馬肉ジャーキーは市販品と何が違う?
馬肉を家庭で乾燥させてジャーキーを作ることもできます。その場合、市販品とは「保存の前提」が違うと考えてください。
市販品は、製品ごとに水分量を管理し、賞味期限をつけて販売されています。家庭のオーブンや食品乾燥機では、乾燥の度合いが毎回同じにはなりません。中に水分が残りやすく、見た目が乾いていても、市販のドライタイプと同じ期間はもたないと考えたほうが安全です。
よくあるのが、人のおつまみ感覚で塩やしょうゆ、にんにくなどで味をつけてしまうことです。犬用に作るなら味付けはしないのが基本です。また、肉は中心まで十分に加熱してから乾燥させ、生焼けの状態で仕上げないようにしましょう。
保存は冷蔵を前提に、少量ずつ作って早めに使い切るのがコツです。手作りでも1日20%以内の枠と、与えた分だけ主食を減らす考え方は変わりません。家庭で作るものは成分表示がないので、量は控えめからスタートしてください。
まとめ
馬肉ジャーキーの長所は、文部科学省の成分表で確かめられる「脂質の少なさ」と「鉄・ビタミンB12の多さ」、そして牛や鶏とは別のたんぱく源だという点にあります。ただし、「アレルギーが出にくい」のは多くの犬にとって食べ慣れていない肉だからです。馬肉が特別な性質を持っているわけではありません。どれだけ栄養があっても、おやつは主食の代わりにはならず、環境省が示す20%以内の枠の中で使うものです。
選ぶときはパッケージの裏面に目を向けてください。義務表示の5項目がそろっているか、原材料欄の先頭が馬肉か、「無添加」なら何が無添加なのかが書かれているか。そして給与限度量の欄で、愛犬の体重に合った量を確認しましょう。子犬は対象年齢の表示を、シニア犬は硬さと大きさを、体の小さい犬はひとかけの重みを意識すると失敗が減ります。
最初の一歩としておすすめなのは、今あげているおやつのパッケージを一度裏返してみることです。原材料・給与限度量・保存方法の3か所を読むだけで、馬肉ジャーキーに替えるべきか、今のままでよいかが判断しやすくなります。試すときは1種類ずつ、1日分を朝に取り分けるところから始めてみてください。
※最新情報は公式サイトでご確認ください。

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