「無添加のドッグフードなら安心」と思ってパッケージを手に取ったのに、裏返すと原材料欄にカタカナの添加物名が並んでいて首をかしげた。そんな経験はないでしょうか。表面の「無添加」と裏面の原材料欄が食い違って見えるのは、表示ルールどおりであることが少なくありません。「無添加」という言葉が何を約束しているのかを知らないまま選ぶと、見た目の印象だけでフードを決めることになってしまいます。
結論から言うと、ペットフードの「無添加」は「何も加えていない」という意味ではありません。「着色料無添加」のように、何が無添加なのかを併記し、その物質を使っていないことを示す表示です。この表示の条件を決めているのはペットフード公正取引協議会の公正競争規約で、ペットフード安全法の義務表示には「無添加」という項目そのものがありません。
この記事では、無添加表示の条件、添加物が入っている理由と原材料欄の書き方、酸化防止剤の上限値、総合栄養食との関係、開封後の保存やフードの切り替えまでを、公的機関と業界団体の一次情報をもとに解説します。特定ブランドのおすすめではなく、どのフードにも使える「パッケージの読み方」の話です。
・「無添加」表示を出すための条件と、「何が無添加か」の読み取り方
・添加物が入っている理由と、原材料欄での書かれ方(個別名・用途名・一括名)
・ペットフード安全法が定める酸化防止剤などの上限値と、その数字の読み方
・無添加より先に確かめたい「総合栄養食」表示と、開封後の保存・切り替えのコツ
無添加のドッグフードとは?「無添加」は何を約束している表示なのか

ペットフード安全法の義務表示に「無添加」という項目はない
最初に押さえたいのは、「無添加」はペットフード安全法で表示が義務づけられている項目ではない、という点です。安全法が販売用ペットフードに義務づけている表示は、名称(犬用又は猫用)、原材料名、賞味期限、事業者の氏名又は名称及び住所、原産国名の5項目です(環境省「ペットフード安全法の基準規格等」)。
なぜ「無添加」が入っていないのかというと、安全法は「犬や猫の健康を害さないフードを流通させるための最低限のルール」を決める法律だからです。一方で「商品のどこをどう強調してよいか」は、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)に基づいて業界が定めた「ペットフードの表示に関する公正競争規約」の領域になります。つまり、無添加という言葉は「安全性の証明」ではなく「表示の約束ごと」の世界にあるわけです。
ここでやりがちなのが、「無添加と書いてあるのは国が無添加だと認めたから」と受け取ってしまうことです。実際には、国が個々のフードに「無添加認定」を出す仕組みではありません。表示は事業者が規約に沿って行うもので、その根拠を確かめる手がかりは裏面の原材料欄にあります。
パッケージを見るときは、「安全法で必ず書かれている5項目」と「規約に沿って任意で強調されている言葉」を頭の中で分けておくと混乱しません。「無添加」は後者、原材料名は前者です。迷ったら義務表示である原材料欄のほうを信頼の軸にする、と覚えておくと判断がぶれにくくなります。
「何が無添加か」を併記しないと表示できない
公正競争規約では、「無添加」「不使用」やそれに類似する用語は「特定用語」として表示条件が決められています。その基本条件は、無添加である原材料名等が明確に併記されていることです(ペットフード公正取引協議会「特定用語の表示基準」解説ページ)。
この条件がある理由はシンプルで、「無添加」だけでは何が入っていないのか読み手に伝わらないからです。着色料を使っていないのか、保存料を使っていないのか、あらゆる添加物を使っていないのかで、フードの中身はまったく違います。言葉だけが独り歩きして「全部入っていない」と誤解されるのを防ぐために、対象を明記させる設計になっています。
具体例で言えば、「着色料・香料無添加」と書かれたフードは、着色料と香料について無添加であることを示しています。同じフードの原材料欄に「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」と書かれていても、表示としては矛盾しません。飼い主がやりがちなのは、パッケージ正面の大きな「無添加」の文字だけを見て、横や下に小さく書かれた「何が」の部分を読み飛ばすことです。
コツは、「無添加」の文字を見つけたら、すぐ近くにある「○○無添加」「○○不使用」の○○の部分を探すことです。そのうえで、原材料欄に並ぶ添加物と照らし合わせれば、表示と中身の関係がはっきりします。○○の部分が見つからない場合は、メーカーのお客様窓口に問い合わせて確かめるのが確実です。
原材料の「不使用」は全製造工程で使っていないことが条件
特定用語の条件は、添加物だけでなく原材料にもかかります。添加物以外の原材料について「無添加」「不使用」と表示する場合は、その原材料がペットフードの全ての製造工程で使用されていないことが確認できる場合に限られます。
「全ての製造工程」とされているのは、最終製品に配合していなくても、途中の工程で使っていれば「使っていない」とは言えないからです。たとえば、ある原材料を最後の配合表から外していても、下処理や別の中間原料の段階で使っていれば、不使用とは表示できません。読み手が受け取る「使っていない」という意味に、表示の中身を合わせるための条件です。
ここで起こりがちな誤解は、「○○不使用」と書かれたフードなら、同じ工場で作られる他の製品の影響も一切ないと考えてしまうことです。規約の条件はあくまで「そのペットフードの製造工程で使用していないこと」の確認であり、表示が約束している範囲を超えた期待をしないことが大切です。
特定の原材料を避けたい事情がある場合は、「不使用」の表示だけで判断せず、原材料欄を1行ずつ確認するのが基本です。食べ物への反応が気になって特定の原材料を避けたい場合は、自己判断で決めつけず、獣医師にも相談しながら選ぶと安心です。
添加物の「無添加」は加工助剤やキャリーオーバーまで含めて判断される
添加物について「無添加」と表示する場合の条件は、さらに踏み込んでいます。その添加物について、ペットフードの表示のための添加物便覧に記載された添加物を、加工助剤、キャリーオーバー及び栄養強化目的で使用されるものを含めて一切使用していないことが確認できる場合に限り表示できる、とされています。
この条件が大事なのは、原材料欄に書かれない形で添加物が関わるケースがあるからです。原材料の段階で使われていたものが製品に持ち越される場合や、製造の途中で使われる場合も含めて「一切使っていない」ことが求められるので、表示できるハードルは言葉の印象よりも高く設定されています。
意外と見落とされるのが「栄養強化目的」も含まれる点です。ビタミンやミネラルを添加物として補っているフードは、その成分について「無添加」とは言えません。「無添加」と書けるかどうかは、フードの良し悪しとは別に、配合の設計そのものに左右されるということです。
ここから言えるのは、「○○無添加」の表示は、条件を満たしたうえで出されている限り、その○○については信頼度の高い情報だということです。逆に、表示のない添加物について「たぶん入っていないだろう」と推測するのは避けましょう。書かれていないことは、原材料欄と問い合わせで確かめるのが確実です。
公正競争規約=不当景品類及び不当表示防止法に基づき、消費者が適正に商品を選べるように業界で定めた表示ルール。ペットフードではペットフード公正取引協議会が運用しています。
特定用語=「無添加」「不使用」「ナチュラル」など、使ってよい条件が個別に決められている言葉。条件を満たさないと表示できません。
「着色料無添加」と「無添加」は同じ?ラベルの言葉を読み分けるコツ
「着色料無添加」は着色料以外について何も言っていない
部分的な無添加表示は、書かれた対象についてだけの約束です。「着色料無添加」は着色料を使っていないことを示す表示であり、保存料や酸化防止剤が入っているかどうかは、この表示からは読み取れません。
こうなるのは、先ほど見たとおり「何が無添加かを併記する」ことが表示の前提だからです。規約は、表示された範囲については厳しい条件を課していますが、表示されていない範囲については何も保証していません。言い換えると、表示は「言ったことに責任を持つ」仕組みであって、「言っていないことまで保証する」仕組みではないのです。
よくあるのが、「着色料無添加」「保存料無添加」と2つ並んでいるのを見て、ほかの添加物も入っていないと考えてしまうパターンです。実際には、表示されていない酸化防止剤や増粘安定剤が原材料欄に書かれていることもあります。どちらが良い悪いではなく、表示の範囲を正しく読めているかどうかの問題です。
コツは、無添加表示を「フード全体の評価」ではなく「特定の添加物についての情報」として受け取ることです。気になる添加物がある場合は、その名前が「○○無添加」に含まれているかを確認し、含まれていなければ原材料欄で個別名を探す、という2段階で見ると確実です。
「ナチュラル」表示は化学的合成物と着色料を使っていないことが条件
「無添加」と並んでよく見かけるのが「ナチュラル」という言葉です。公正競争規約では、「ナチュラル」「ネーチャー」又はこれに類似する用語は、化学的合成物及び着色料を使用していないものに限り表示できるとされています。
ただし、総合栄養食や療法食、総合栄養食の基準を満たす間食には例外があります。栄養バランス上欠かせないビタミン類・ミネラル類・アミノ酸類に限って化学的合成物を使い、その旨を規定サイズ以上の文字で併記し、かつエトキシキン・BHA・BHTなどの合成酸化防止剤を使っていない場合に限り、ナチュラルと表示できます。主食として栄養を満たすために必要な成分を、合成物で補うことを認めた設計です。
ここでの誤解は、「ナチュラル」と「無添加」を同じ意味だと思ってしまうことです。ナチュラル表示の総合栄養食には、ビタミンやミネラルの化学的合成物が入っていることがあり、その場合は併記があるはずです。逆に「無添加」表示のフードでも、ナチュラルの条件を満たしているとは限りません。
パッケージで「ナチュラル」を見つけたら、近くに「ビタミン類・ミネラル類・アミノ酸類以外は化学的合成物を使用していない」といった趣旨の併記がないかを確認しましょう。この併記があれば、総合栄養食としての栄養設計を優先したナチュラル表示だと読み取れます。
「グレインフリー」「穀物不使用」も「不使用」の仲間として読む
「グレインフリー」「穀物不使用」といった表示も、原材料について「使っていない」ことを伝える言葉です。規約では「無添加」「不使用」またはこれらに類似する用語が特定用語とされているので、原材料の不使用を示す表示は、同じ考え方で読むのが自然です。
原材料について不使用と表示するには、先に見たとおり、その原材料が全ての製造工程で使われていないことが確認できる必要があります。つまり「穀物不使用」は、穀物という原材料についての情報であって、添加物が入っていないことを意味するものではありません。「グレインフリーだから無添加」「無添加だからグレインフリー」という結びつけは成り立たないわけです。
やりがちなのは、「グレインフリー」「無添加」「ナチュラル」といった言葉をまとめて「体にやさしそうな表示」として一括りにしてしまうことです。それぞれ対象がまったく違うので、1つを満たしているからといって、ほかも満たしているとは限りません。
複数の表示が並んでいるフードでは、「どの言葉が、何について言っているのか」を1つずつ切り分けて読みましょう。グレインフリーの考え方や注意点については、別の記事でくわしく整理しています。

誇張表示を止める仕組み——不当表示の3類型
パッケージの言葉にある程度の信頼を置けるのは、誇張や誤解を招く表示を止める仕組みがあるからです。公正競争規約では、不当表示を「優良誤認表示」「有利誤認表示」「その他誤認されるおそれのある表示(内閣総理大臣が指定する7種類)」の3つに整理しています。
優良誤認表示は、実際よりも品質や内容が優れていると思わせる表示のことです。「無添加」の条件を満たしていないのに無添加と書くことは、この考え方に照らして問題になります。規約が特定用語の条件を細かく決めているのは、こうした誤認を起こさないためだと理解すると、表示のルールがなぜここまで厳密なのかが見えてきます。
一方で、規約が止めるのは「誤認させる表示」であって、「フードの良し悪し」を判定するものではありません。「無添加」表示があるフードとないフードのどちらが愛犬に合っているかは、表示の世界とは別に考える必要があります。表示が正しいことと、自分の犬に合っていることは、別々の問題です。
パッケージを見るときは、「この表示はルール上どういう条件で出せる言葉か」を意識するだけで、印象に引っ張られにくくなります。ペットフード公正取引協議会の会員かどうかは、総合栄養食の表示ができるかどうかにも関わるので、次の章以降で見ていきます。
状況:「無添加」と大きく書かれたフードを買ったあとで、原材料欄に酸化防止剤の名前を見つけて「表示と違う」と不安になる。
原因:無添加表示は「何が無添加か」を併記したうえでの限定的な約束なのに、フード全体に添加物がないと受け取ってしまった。
対策:「無添加」の近くにある「○○無添加」の○○を確認し、原材料欄の添加物名と突き合わせる。表示されていない添加物については、原材料欄とメーカーへの問い合わせで確かめましょう。
そもそも添加物は何のために入っている?定義と原材料欄の書き方

添加物は「製造・加工・保存」のために使うもの
ペットフード安全法で添加物とは、ペットフードの製造の過程において又はペットフードの加工若しくは保存の目的で、添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物を指します(ペットフード公正取引協議会「添加物」解説ページ)。
この定義から見えてくるのは、添加物には役割があるということです。フードの形を作る、品質を保つ、栄養を補うなど、目的に応じて使われています。「添加物=不要なもの」と考えると、なぜ多くのフードに入っているのかが説明できません。役割があるからこそ、何が入っているかを表示で確かめる意味があるわけです。
同じページでは、使用にあたっての留意事項として、犬猫に安全である添加物を事業者の責任において使うこと、そして添加物の使用は必要な場合に限り、かつ、必要最小限の量にすることが示されています。業界のルールとしても「多ければ多いほど良い」ではなく「必要な分だけ」という考え方が前提です。
飼い主がやりがちなのは、原材料欄のカタカナの多さだけでフードを評価することです。カタカナの名前が多くても、それが栄養強化のためのビタミンやミネラルであることもあります。個々の名前が「何のために」入っているのかに目を向けると、評価の軸が見た目の印象から中身へ移ります。
使える添加物のリストは網羅されていない——添加物便覧という参考資料
意外と知られていないのが、ペットフードに使える添加物を網羅的に並べた公式リストは存在しない、という点です。業界では「飼料添加物」「食品添加物」「AAFCOの指定する添加物」「FEDIAFの指定する添加物」などを参考に、一般社団法人ペットフード協会が作成した「ペットフードの表示のための添加物便覧」を参考資料として使う仕組みになっています。
そのうえで、参考にしている添加物のうち、飼料添加物、AAFCOやFEDIAFが指定する抗生物質や抗菌剤はペットフードには使用できないとされています。参考資料に載っていれば何でも使えるわけではなく、ペットフードとしての線引きがされているということです。
この仕組みを知らないと、「このフードに入っている添加物は、どこかの公式リストで安全が確認されたもの」と思い込んでしまいがちです。実際には、先に見たとおり事業者の責任で安全なものを使うことが前提になっています。表示のルールと安全性の確認は、それぞれ別の枠組みで動いていると理解しておきましょう。
ここで押さえたいのは、添加物便覧が「無添加」表示の判断基準にもなっていることです。無添加と表示する際に「一切使用していない」ことを確認する対象は、この便覧に記載された添加物です。表示のルールと添加物の参考資料がつながっていることを知っておくと、無添加表示の重みが見えてきます。
保存料・酸化防止剤などは「用途名」も書く必要がある
原材料欄で添加物を記載するときは、原則として個別名を記載する決まりです。そのうえで、甘味料・着色料・保存料・増粘安定剤・酸化防止剤・発色剤の6つのカテゴリは、用途名の併記が必要とされています。
用途名の併記が求められる理由は、個別名だけでは何のために入っているかが読み手にわかりにくいからです。たとえば酸化防止剤の個別名としてはミックストコフェロールやローズマリー抽出物などがあり、これを「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」のように書くことで、成分名に詳しくない人でも役割がわかります。
やりがちな失敗は、原材料欄の「ミックストコフェロール」だけを見て、何の成分なのかわからないまま不安になることです。用途名がかっこの外や前に書かれていれば、それが酸化防止剤として使われていることがわかります。用途名を先に拾い、個別名はあとで確認する、という順番で読むと迷いません。
無添加表示と照らし合わせるときも、この用途名が役に立ちます。「保存料無添加」と書かれたフードなら、原材料欄に「保存料(○○)」という記載がないことを確かめれば、表示と中身が一致しているかを自分で確認できます。
香料や調味料は「一括名」でまとめて書けることがある
一方で、原材料欄にまとめて書ける添加物もあります。イーストフード・かんすい・苦味料・酵素・光沢剤・香料・酸味料・調味料・豆腐用凝固剤・乳化剤・pH調整剤・膨脹剤は、一括名での表示が可能なカテゴリとされています。
これらは複数の成分を組み合わせて1つの役割を果たすことが多く、個別名を全部並べると原材料欄が読みにくくなるためです。「香料」「調味料」とまとめて書かれていても、それはルールどおりの表示であり、情報を隠しているわけではありません。
ただし、一括名で書かれている以上、中身の個別の成分までは原材料欄から読み取れません。「香料」の具体的な中身が気になる場合は、メーカーに問い合わせるしか確かめる方法がないのです。ここを知らずに「香料」の2文字だけで判断を下してしまうのは、情報が足りない状態での判断になります。
原材料欄を読むときは、「個別名+用途名で書かれているもの」「一括名で書かれているもの」「用途名なしの個別名で書かれているもの」の3つを見分けるだけで、情報の粒度がわかります。どこまでが表示から読み取れて、どこからが問い合わせの領域なのかを区別しておきましょう。
| 項目 | 個別名+用途名 | 一括名 | 個別名のみ |
|---|---|---|---|
| 対象の例 | 甘味料・着色料・保存料・増粘安定剤・酸化防止剤・発色剤 | 香料・調味料・乳化剤・pH調整剤・酸味料など | 上記以外(原則は個別名) |
| 表示から読み取れること | 成分名と役割の両方 | 役割のみ(中身の成分は不明) | 成分名(役割は調べて確認) |
| 無添加表示と照合するコツ | 用途名を探せば一致を確認しやすい | 中身が気になるときはメーカーに問い合わせ | 成分名から用途を確認する |
犬ごはんノート調べ(ペットフード公正取引協議会「添加物」解説ページの記載ルールをもとに整理)
酸化防止剤は避けるべき?安全法の上限「150μg/g」が意味すること
エトキシキン・BHA・BHTは合計で上限が決められている
「無添加」が気になる人の多くが意識しているのが、合成の酸化防止剤です。ペットフード安全法では、成分規格としてエトキシキン・BHA・BHTの合計量は150μg/g以下、さらに犬用ではエトキシキン単独で75μg/g以下と定められています。
上限が「合計量」で決められているのは、似た役割の成分を組み合わせて使う場合でも、全体として量を抑えるためだと読み取れます。1つずつ上限を守っていても、合わせると多くなってしまう事態を防ぐ設計です。犬用だけエトキシキンに別の上限があるのも、犬への使用を前提に個別の線引きをしていることを示しています。
ここでよくある誤解は、「上限値が決められている=危険な成分」と受け取ることです。上限値は、流通してよいフードの基準として法律で決められた数字です。その範囲で使われているフードは、少なくとも法律上の基準は満たしていることになります。一方で、上限値の意味を知らずに「合成酸化防止剤入りはすべて避ける」と決めると、選択肢が狭まるだけで根拠のある判断にはなりません。
どうしても避けたい場合は、原材料欄で「酸化防止剤(BHA)」のような記載があるかを確認しましょう。用途名の併記が必要なカテゴリなので、見落とさずに確認できます。表示を読んで判断すること自体は、飼い主として筋の通った選び方です。
亜硝酸ナトリウムは100μg/g以下、プロピレングリコールは猫用で禁止
酸化防止剤以外にも、安全法には個別の決まりがあります。亜硝酸ナトリウムは100μg/g以下とされ、また製造方法の基準としてプロピレングリコールは猫用の販売用ペットフードには使用してはならないとされています。
プロピレングリコールの決まりが「猫用」に限られていることからわかるのは、安全法の基準が犬用と猫用を分けて考えている、ということです。同じペットフードでも、犬と猫では基準が異なる項目があります。犬用のフードを選ぶときは、犬用としての基準を満たしているかどうかが問題になります。
やりがちなのは、猫用フードの話題で出てきた注意点を、そのまま犬用にも当てはめてしまうことです。インターネット上では犬と猫の情報が混ざって語られることがありますが、法律の基準は対象の動物ごとに読む必要があります。犬と猫を一緒に飼っている家庭で、フードを取り違えないよう注意したいのもこのためです。
製造方法の基準としては、有害物質を含む原材料や病原微生物に汚染された原材料の使用禁止、加熱・乾燥は微生物を除去するのに十分な効力を有する方法で行うことなども定められています。添加物の上限値だけでなく、製造のしかた全体に基準があることを知っておくと、表示の背景が見えてきます。
上限値はフードの水分を10%として換算した数字
上限値を読むときに見落としやすいのが、換算の前提です。安全法では、規定する成分の含有量を算出するにあたって、そのペットフードの水分含有量を10%に設定するとされています。
こうした前提があるのは、フードによって水分量が大きく違うからです。水分の多いフードと少ないフードで、同じ重さあたりの成分量をそのまま比べると、水分の違いが数字に影響してしまいます。水分を一定にそろえて換算することで、フードの形状が違っても同じ基準で上限を判断できるようにしているわけです。
この前提を知らずに、パッケージの数値や別の資料の数値を上限値と直接比べてしまうのは、よくあるつまずきです。成分の量は水分の扱い方で見え方が変わるので、比べるときは「何を基準にした数字か」を確認することが欠かせません。
とはいえ、飼い主が自分で換算して上限値と照らし合わせる必要はほとんどありません。基準を守ることは事業者の責任です。飼い主にできるのは、事業者の氏名又は名称及び住所がきちんと表示されているか、つまり問い合わせ先がはっきりしているかを確かめることです。疑問があれば、そこへ直接確認できます。
「合成酸化防止剤不使用」でもミックストコフェロールは入っている理由
実は、無添加をうたうフードの原材料欄にも、酸化防止剤の記載があることは珍しくありません。ペットフード公正取引協議会の解説では、酸化防止剤の個別名の例としてミックストコフェロールやローズマリー抽出物などが挙げられています。これらも用途名の併記が必要な「酸化防止剤」のカテゴリに入る添加物です。
「合成酸化防止剤不使用」という表示は、エトキシキン・BHA・BHTのような合成の酸化防止剤を使っていないという意味であって、酸化防止剤そのものを使っていないという意味ではありません。フードに脂質が含まれている以上、品質を保つための工夫は必要で、その役割を別の成分が担っているケースがあるということです。
意外と知られていないのが、酸化防止剤を使わない、あるいは控えめにしている分、開封後の品質管理が飼い主側の手に委ねられる割合が大きくなると考えられる点です。「無添加だから安心」と考えて保存を雑にすると、かえって本来の品質を保てなくなるおそれがあります。無添加を選ぶなら、保存にこそ気を配る必要があるわけです。
原材料欄で「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」のような記載を見つけたら、それは合成か天然由来かという区別とは別に、「品質を保つための成分が入っている」という情報だと受け取りましょう。どちらを選ぶかは、保存の手間とのバランスで考えるのが現実的です。
| 分類 | 成分規格(上限値)と製造方法の基準 |
| 主な上限値 | エトキシキン・BHA・BHTの合計量は150μg/g以下(犬用はエトキシキン単独75μg/g以下)、亜硝酸ナトリウムは100μg/g以下 |
| 読むときの注意 | 含有量はフードの水分含有量を10%に設定して算出する。プロピレングリコールは猫用には使用不可 |
| 飼い主が確認できること | 原材料欄の「酸化防止剤(○○)」の記載と、事業者の名称・住所(問い合わせ先) |
無添加より先に確認したい「総合栄養食」かどうか
総合栄養食は「そのフードと水」で健康を維持できる主食の区分
無添加かどうかよりも先に確かめたいのが、そのフードが「総合栄養食」かどうかです。総合栄養食は、毎日の主要な食事として与えることを目的とし、新鮮な水と一緒に与えることで犬や猫の健康を維持できるように栄養バランスが整えられているものです(環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」)。
総合栄養食と表示するには、その基準を満たしていることを分析試験または給与試験によって証明し、ペットフード公正取引協議会に届け出る必要があります。表示できるのは協議会の会員に限られます。対応する成長段階や、体重ごとの給与量・給与回数も表示事項です。つまり「総合栄養食」の表示には、栄養面の裏づけの手続きがあるのです。
ここで注意したいのは、「無添加」の表示には栄養面の保証がないことです。無添加はあくまで「特定のものを使っていない」という情報で、そのフードだけで犬に必要な栄養がまかなえるかどうかは、無添加表示からはわかりません。毎日の主食を選ぶなら、無添加かどうかより総合栄養食かどうかが先に来ます。
パッケージでは、「総合栄養食」の文字と、対応する成長段階(子犬用・成犬用など)が書かれているかを最初に確認しましょう。この2つがそろっていれば、主食としての前提を満たしていると判断できます。
間食と「その他の目的食(一般食)」は単体で主食にならない
総合栄養食以外の区分として、「間食」と「その他の目的食」があります。間食は、おやつやごほうび、ペットとのコミュニケーションの手段として与えるものです。ジャーキータイプ、乾燥野菜類、ジェル状おやつ、成型ガム類、ボーロ・ビスケットなどの菓子タイプがあります。
その他の目的食は、「総合栄養食」「療法食」「間食」のいずれにも当てはまらないものの総称です。総合栄養食ではない缶詰・レトルトフードや、栄養補給のサプリメント、食欲増進や特定栄養成分の補給を目的としたものなどが含まれ、パッケージには「副食」「一般食(おかずタイプ)」「栄養補完食」などと記載されます。つまり「一般食」は独立した区分ではなく、その他の目的食に含まれる表記の一例です。
やりがちなのが、無添加をうたうおかずタイプのフードを、それだけで主食にしてしまうことです。「一般食」と書かれたフードは、総合栄養食と組み合わせて使う前提の商品です。無添加で安心感があっても、単体では必要な栄養がそろっていない可能性があります。
無添加のおかずタイプを使いたい場合は、総合栄養食のフードに加えるトッピングとして考えましょう。その場合は、加えた分だけ主食の量を調整するのが基本です。量の調整を忘れると、カロリーが積み上がっていきます。
療法食は獣医師の管理の下で使うもの
療法食は、犬や猫の疾病の治療などの際に栄養学的なサポートをするために、治療の内容に合わせてフードの栄養成分を調整し、治療を補助する目的で与えるフードで、使用は獣医師の管理の下に行われます。
療法食だけは病名の記載が認められていますが、あくまで治療の補助であって、フードによって病気を予防したり治療できるかのような表示はできないとされています(ペットフード公正取引協議会「ペットフードの目的」解説ページ)。無添加かどうかとは別の軸で、目的そのものが違うフードです。
ここで避けたいのは、療法食を無添加かどうかで選び直したり、自己判断でほかのフードに切り替えたりすることです。療法食は獣医師が治療の内容に合わせて選んでいるものなので、添加物への考え方があっても、変更したい場合は必ず獣医師に相談してから決める必要があります。
当サイトでは療法食の選び方は扱いません。療法食を与えている場合は、パッケージの無添加表示を見て迷ったときも、まずかかりつけの獣医師に「この成分が気になる」と伝えるところから始めましょう。
主食に必要な栄養を補う成分は「無添加」と両立しないことがある
見落とされがちなのが、総合栄養食としての栄養設計と「無添加」の表示が、ぶつかる場合があることです。先に見たとおり、添加物の「無添加」表示には、栄養強化目的で使用されるものまで含めて一切使用していないことが求められます。
総合栄養食は、そのフードと水だけで健康を維持できる栄養バランスが必要です。原材料だけで足りない栄養素を、ビタミン類やミネラル類として補っているフードもあります。ナチュラル表示でさえ、総合栄養食ではビタミン類・ミネラル類・アミノ酸類に限って化学的合成物の使用を認めているのは、栄養バランスを満たすことが主食としての前提だからです。
ここでの失敗は、「添加物の少なさ」を最優先にしてフードを選び、主食としての栄養の裏づけを後回しにすることです。原材料欄が短いことは、それだけでは主食としての優秀さを示しません。栄養を補うための成分が入っていることは、主食として設計されている証拠であることもあります。
選ぶときの順番は、「総合栄養食か」→「対応する成長段階か」→「気になる添加物が入っていないか」です。この順番を守れば、無添加へのこだわりと主食としての栄養の両方を満たすフードを探せます。
| 項目 | 総合栄養食 | 間食 | 療法食 | その他の目的食 |
|---|---|---|---|---|
| 目的 | 毎日の主要な食事 | おやつ・ごほうび・コミュニケーション | 治療の補助 | 上記以外(副食・栄養補完など) |
| 単体で主食になるか | なる(新鮮な水と一緒に) | ならない | 獣医師の管理の下で使う | ならない |
| パッケージの表記例 | 総合栄養食・成長段階・給与量 | 間食・おやつ | 療法食(病名の記載可) | 副食・一般食(おかずタイプ)・栄養補完食 |
| 無添加表示との関係 | 栄養強化の成分は無添加表示の対象外になり得る | 1日の量の目安と一緒に確認 | 表示で選び直さず獣医師に相談 | 総合栄養食と組み合わせて使う |
犬ごはんノート調べ(環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」・ペットフード公正取引協議会の解説をもとに整理)
無添加のドッグフードを選ぶ手順——パッケージを見る順番
最初に「用途」の表示で主食かどうかを確かめる
パッケージを見る順番の最初は、「用途」の表示です。公正競争規約では、用途・内容量・与え方・成分の4項目を表示事項としています。用途は「総合栄養食」「間食」「療法食」「その他の目的食」のどれにあたるかがわかるように書かれます(環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2-2 表示の見方))。
用途を最初に見る理由は、ここで「このフードをどう使うか」が決まるからです。主食として使うなら総合栄養食、トッピングならその他の目的食、ごほうびなら間食、と目的が合っていなければ、無添加かどうかを比べても意味がありません。用途が合っているフード同士で比べてこそ、無添加の違いが選ぶ理由になります。
やりがちなのは、正面の「無添加」や写真に引かれて手に取り、用途を確認しないままカゴに入れてしまうことです。帰宅してから「一般食(おかずタイプ)」と書かれていることに気づく、というのは珍しくない失敗です。
用途の次は「与え方」と「成分」を確認しましょう。与え方には1日に与える量や回数の目安、成分には主要な栄養成分や水分量が%で書かれていて、多くのフードではkcal/100gも記載されています。量の計算やフードどうしの比較は、この欄の数字をもとにするのが基本です。
安全法の5項目で「身元」を確かめる
用途を確認したら、安全法で義務づけられた5項目で、フードの「身元」を確かめます。名称(犬用又は猫用)、原材料名、賞味期限、事業者の氏名又は名称及び住所、原産国名です。
この5項目は法律で義務づけられているので、書かれていない場合は販売用ペットフードとして問題があることになります。とくに原産国名は、最終加工工程を完了した国を指す点に注意が必要です。原材料の産地ではなく、最後に加工を終えた国が書かれます。「国産」と書かれていても、原材料がすべて国内のものとは限らないということです。
よくある誤解が、原産国名を「原材料の産地」と読んでしまうことです。原材料の産地が気になる場合は、原産国名の欄ではなく、メーカーが別途公開している情報を確認するか、問い合わせる必要があります。表示が何を示しているかを正しく読むことが、無添加表示を読むうえでも土台になります。
事業者の氏名又は名称及び住所は、疑問があったときの問い合わせ先でもあります。「無添加の○○は何を指すのか」「一括名の香料の中身は何か」といった質問は、ここに書かれた事業者に確認できます。問い合わせ先がはっきりしていること自体が、表示の信頼性を支える要素です。
原材料欄で添加物の個別名と用途名を追う
身元を確認したら、いよいよ原材料欄です。原材料名は、原則的に添加物を含む全ての原材料を表示することになっています。無添加表示と中身が一致しているかは、ここで確かめます。
手順としては、まず無添加表示の「○○無添加」の○○を確認し、原材料欄にその○○の用途名が書かれていないかを探します。酸化防止剤、保存料、着色料などは用途名の併記が必要なカテゴリなので、見つけやすいはずです。次に、無添加表示の対象外の添加物について、個別名と用途名から役割を読み取ります。
ここでの失敗は、原材料欄を「長い・短い」の印象だけで判断することです。長い原材料欄には、栄養強化のためのビタミン類やミネラル類が並んでいることが多く、それは主食としての設計の表れでもあります。逆に短い原材料欄が、主食に必要な栄養を満たしているとは限りません。
気になる添加物があるかどうかを確認するのは大切ですが、「どの添加物を、なぜ避けたいのか」を自分の中で言葉にしておくと、判断がぶれません。理由がはっきりしない不安は、原材料欄を読んでも解消しにくいからです。
子犬・シニア犬・トッピング派で見るポイントが変わる
同じ無添加のフードでも、どんな犬に、どう使うかで見るべき点が変わります。子犬なら成長段階の表示、シニア犬なら切り替えの進め方、トッピング派なら用途と量の調整が、無添加かどうかより先に確認したい点です。
子犬の場合は、総合栄養食であることに加えて、成長期に対応しているかを確認しましょう。環境省のガイドラインでは、成長期の目安を生後50日から、小型犬では10か月ぐらい、中型犬では1年ぐらい、大型犬では1年半ぐらいとしています。この期間は成長期用の総合栄養食が基本になります。
シニア犬では、無添加のフードに変えたいと考えたときに、年齢だけを理由に一気に切り替えないことが大切です。トッピング派は、無添加のおかずタイプを加えるなら、それがその他の目的食であることを確認し、加えた分だけ主食を減らす計算をしましょう。どのケースでも、無添加であることは「条件を満たしたうえでのプラス要素」として考えるのが筋です。
家族で分担して食事を用意している家庭では、誰が見てもわかるように「主食は総合栄養食」「トッピングは○○まで」とルールを共有しておくと、無添加フードの使い方がぶれにくくなります。
開封後の保存と切り替え、無添加だからこそ気をつけたいこと
ドライフードは開封後約1か月、冷蔵庫に入れないのが基本
環境省のガイドラインでは、ドライフードの使用期限の目安を開封後約1か月とし、袋をしっかり閉じて、直射日光が当たらず、温度・湿度が低い場所で常温保存するよう案内しています。
冷蔵庫に入れないほうがよい理由も示されています。冷蔵庫で保存すると、与えるときの出し入れの際にフード表面に結露を生じ、カビ等の発生の原因になることがあるからです。冷たいフードを室温の空気にさらすと、表面に水分がつきます。これを繰り返すと、乾燥しているはずのフードが湿気を帯びてしまいます。
無添加のフードで「傷みやすそうだから冷蔵庫へ」と考えるのは、気持ちとしては自然ですが、ドライフードに関しては逆効果になりかねません。酸化防止剤を控えめにしたフードほど、保存環境の影響を受けやすいと考えられるので、結露の心配がない常温での管理を丁寧に行うことが大切です。
大袋を買った場合、開封後約1か月で使い切れる量かどうかを、購入前に考えておきましょう。使い切れない場合は、小分けの袋を選ぶほうが品質を保ちやすくなります。ドライフードの性質や保存の考え方は、別の記事でもくわしく解説しています。

セミモイストは2週間程度、ウェットは開封後1日が目安
フードの形状によって、開封後の目安は大きく変わります。ガイドラインでは、セミモイストフードは開封後2週間程度を目安に、袋をしっかり閉じて冷蔵庫で保存するよう案内しています。ウェットフードは開封後1日が目安で、開封したらすぐに与え、余った場合は別容器に移し替えて冷蔵し、その日のうちに使い切るのが基本です。
形状によって目安が違うのは、フードに含まれる水分量が違うからです。水分の多いフードほど、開封後に品質が変わりやすくなります。ウェットフードを1日以上保存する場合は冷凍保存も可能ですが、食味等を損なう場合があるとされています。
やりがちなのは、ドライフードと同じ感覚でウェットフードを扱ってしまうことです。「無添加のウェットフード」を開封して、翌日以降も常温で置いたまま与える、というのは避けたいパターンです。無添加かどうかにかかわらず、ウェットは開封後1日という目安を守りましょう。
複数の形状を組み合わせている家庭では、フードごとに保存場所と目安を分けて管理するのがコツです。ドライは常温、セミモイストとウェットの残りは冷蔵、と置き場所を決めておくと、家族の誰が用意しても迷いません。
無添加フードへの切り替えは1〜2週間かけて
「無添加のフードに変えたい」と思ったら、一気に替えずに少しずつ進めるのが基本です。環境省のガイドラインでは、急に切り替えるのは良くないとし、犬や猫の状態を見ながら1〜2週間かけて新しいフードの割合を徐々に増やしていくよう案内しています。
その理由として、食べ慣れていないフードに切り替えると、吐いてしまったり、下痢をすることもあると説明されています。フードが変わると、原材料や成分のバランスが変わります。体がその変化に慣れる時間をとることで、負担を減らせるわけです。無添加のフードであっても、「体にやさしそう」という理由で急に切り替えてよいことにはなりません。
よくある失敗が、今のフードが残り少なくなってから新しいフードを買い、足りない分を一気に置き換えてしまうことです。切り替えの期間を確保できないまま替えることになるので、今のフードがまだ残っているうちに新しいフードを用意しておきましょう。
切り替えの途中で、食欲や便の様子がいつもと違う状態が続くときは、自己判断で進めずに獣医師に相談してください。持病があって療法食を使っている場合は、切り替えそのものを獣医師と相談したうえで決めるのが前提です。
無添加のおやつも1日のエネルギー量の20%以内
主食だけでなく、おやつにも無添加の表示が多く見られます。環境省のガイドラインでは、おやつは一日に必要なエネルギー量の20%以内を目安にし、与えた分だけ主要な食事の量も減らすよう案内しています。
この目安があるのは、おやつの量が増えると、主食から摂るべき栄養のバランスが崩れたり、カロリーが積み上がったりするからです。おやつの多くは「間食」の区分で、総合栄養食ではありません。主食で整えた栄養バランスを、おやつで崩さないための目安と言えます。
やりがちなのは、「無添加だから多めにあげても大丈夫」と考えてしまうことです。無添加表示は特定のものを使っていないという情報であって、カロリーの少なさや量の安全を示すものではありません。無添加のジャーキーでも、与えすぎれば目安を超えます。
おやつの量を管理するには、パッケージの与え方と成分の欄を確認し、1日の中でどれだけ与えたかを家族で共有するのが近道です。無添加おやつの選び方と量の目安は、別の記事でくわしく整理しています。

状況:酸化防止剤が控えめなフードだから傷みやすいと考え、開封したドライフードを冷蔵庫に入れて毎日出し入れしている。
原因:冷えたフードを出し入れするたびに表面に結露が生じ、カビ等の発生の原因になることがある。
対策:ドライフードは袋をしっかり閉じ、直射日光が当たらず温度・湿度が低い場所で常温保存する。開封後約1か月で使い切れる量を選ぶのが確実です。
まとめ
無添加のドッグフードを選ぶときにいちばん大切なのは、「無添加」という言葉の印象ではなく、その表示が何について約束しているのかを読むことです。公正競争規約では、無添加表示には対象の併記が必要で、添加物については加工助剤やキャリーオーバー、栄養強化目的のものまで含めて一切使用していないことが条件になっています。条件が厳しいからこそ、書かれている範囲については信頼できる情報になります。
一方で、無添加表示には栄養面の保証はありません。毎日の主食なら、まず総合栄養食であることと対応する成長段階を確認し、そのうえで気になる添加物を原材料欄で確かめる、という順番が確実です。酸化防止剤を控えたフードを選ぶなら、ドライフードは開封後約1か月を目安に常温で丁寧に保存し、切り替えは1〜2週間かけて進めましょう。おやつも無添加かどうかにかかわらず、1日に必要なエネルギー量の20%以内が目安です。
最初の一歩として、今あげているフードのパッケージを手に取り、「用途」「○○無添加の○○」「原材料欄の用途名」の3か所を確認してみてください。今のフードが何を約束しているかがわかれば、次に選ぶフードとの違いも自分の目で比べられるようになります。
※最新情報は公式サイトでご確認ください。

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